堀江氏が語る、十年後のニッポン
VR、SR、ARが統合された世界がやってくる
2014/9/29
テレビ局のような従来のメディアとインターネットの融合など、堀江貴文氏がライブドア経営中に仕掛けようとしていたことの多くが、10年経った今、実現している。Amazonのジェフ・ベゾスはワシントン・ポストを買収し、日本のテレビ局はスタートアップへ積極的に投資するようになった。堀江貴文氏の目に未来はどう映るのか。急激に進化を遂げる注目分野を『The Startup』の著者、梅木雄平氏が聞く。
――10年後の日本の姿をどう予想していますか?
予想なんかしていませんよ。僕にとっては未来ではなく今。当時も10年後を予想し逆算で動いたわけではなく、こうあるべきだという仮説を元にその世界を実現するためにやれることをやってきただけです。
――メディアについて以前から興味はあったと思いますが、メディアの未来はどう考えていますか?
今考えうるメディアのこうあるべきだという世界はキュレーションアプリと個人メディア。キュレーションアプリはAntennaのアドバイザーをやっていますし、NewsPicksもかなり使っています。個人メディアはHORIEMON.COMの運用を2014年に入ってから始めました。スマホ時代においてキュレーションアプリでの情報収集は欠かせないし、誰が情報発信するかという重要性はますます高まっている。
――堀江さんはかなり幅広いジャンルを網羅している印象がありますが、情報収集においてどのような工夫をしていますか。
ひたすら情報収集していますね。移動時間などの隙間時間はずっとキュレーションアプリで記事を読んでいます。他の人と僕との違いは、読む情報量にあるんじゃないかと思う。他では会う人を制限しないことを徹底しています。ずっと同じ人と交流していても、刺激がなくなる。Awabarに行って毎日のように同じ人と会う意味はないし、それなら女子大生と会った方が違った視点を取り入れることができるから、意味があると思う。
4D技術の記録再生に興味
――堀江さんが最近一番興味を持っている分野は?
4D技術の記録再生に興味がありますね。すでにイギリスには4Dを記録できるINFINITE-REALITIESというスタジオがあるんですよ。
INFINITE-REALITIESは質感まで生々しく記録できます。このような技術で4Dの記録はすでにできます。肌の質感とかすごいリアリティで記録できますよ。スチールでの撮影はすでにできていて、あとは動画で撮影し、どう再生するかが今後の課題です。
【4D技術とは】現在の時空間などの3次元の次元定義に対し、それとは異なる新しい次元定義を行った技術を指す。 デジタルコンテンツの中で、デジタル以外のリアルな要素を取り入れた作品を提示する際に、用いられることが多い。
――4D記録の再生にはどのようなハードルがあるのでしょうか。
マイクロレンズが液晶ディスプレイの上に無数にびっしりと載るような状態を作り出すことが必要ですね。液晶の解像度が上がり、GPUの性能が上がれば実現できます。そういうディスプレイを作り出せばいい。大型ディスプレイでようやく実現した8Kがスマホくらい小さいディスプレイに載る必要があります。
仮想堀北真希とキスできる日も遠くない?
――4D記録を再生するガジェットが普及すれば、どのような世界が実現しますか。
VR(仮想現実)やSR(代替現実)やAR(拡張現実)が全てインテグレートされていくと思います。そうなればわざわざ外出する必要がなくなってくる。ミラーボールのような球状のデバイスでちょっとずつ回転してレンズとレンズの隙間を埋めていけば4Dを記録することができる。それでずーっと撮り続けるとします。すると360度の記録が再生できるようになる。僕がヘッドマウントディスプレイ付けて、堀北真希ちゃんにキスするようなシチュエーションを作り出すこともできるわけです。
――そんな世界が来るのですか。まだ全然実感がわきませんが。
今度僕らのチームで、VR用のヘッドマウントディスプレイであるOculus Riftを体験できるBAR「オキュバー」を作ろうとしています。SRを使えば、好きな女優がバーテンダーをやっているシチュエーションも簡単に作り出せます。そういう状況を体験できると面白いですよね。この辺の技術はどんどん進化しているので、現時点でも体験することは可能です。