【RS】女性管理職に立ちはだかる12の壁

女が出世しないのは、会社のせいか?女のせいか?

スーパーウーマンしか管理職になれない国、ニッポン

2014/9/29
安倍内閣は「社会のあらゆる分野における、指導的地位に女性が占める割合」を2020年までに30%まで引き上げると宣言。
だが、急遽、管理職になった女性社員の中には、明らかなスキル不足、テクニック不足を指摘されるケースもある。
では、先達の女性管理職たちは、どうやってスキル不足やテクニック不足、あるいは周囲の理解不足といった”壁”を乗り越えてきたのか?

ニイマルサンマル。

何のおまじないかと思った人もいるかもしれないが、政府が掲げている女性管理職の数値目標のことだ。「社会のあらゆる分野における、指導的地位に女性が占める割合」を2020年までに30%まで引き上げると宣言している。「指導的地位」とは、法人や団体では課長相当職以上を指す。

トヨタは女性管理職を100人から300人に

現状の6.6%(従業員100人以上の民間企業)からすると遠い数字ではあるが、経団連は会員企業に女性役員・管理職の自主行動計画を公表することを義務化。トヨタ自動車が現在約100人いる女性管理職を2020年までに3倍に、全日本空輸は20年度までに女性役員2名以上にする目標を発表するなど、“本気の姿勢”を見せる企業も増えてきた。

収入が右肩上がりの時代はすでにレジェンドと化し、いまや男性も女性も働いて自分自身を養うことが当たり前になった。女性にとって「仕事か、結婚か」という2択で迷えることは、もはや相手や身内の経済環境に恵まれた者だけの“特権”であり、大多数の女性は「一生働き続ける」ことを運命として受け入れている。

そして、このニイマルサンマルである。女性は、新たな選択肢として「管理職になるか、ならないか」というカードを突き付けられている。“女性活用”(個人的には、人に対して“活用”は失礼な表現だと思っているが)という名の時代の要請に「我こそは」と意気込む女性はいるだろうが、「そこまで頑張るつもりはなかったのに…」「急に『管理職になれ』と言われたって…」と内心戸惑っている女性だって実は少なくないのではないだろうか。

管理職になれるのはスーパーウーマンだけ?

 女性管理職2

そんな女性たちの不安のもとの一つは、日本社会でそこはかとなくささやかれてきた「女性にマネジメントはできない」という不満の声ではないかと思う。

「女は数字に弱いから、経営を語れない」

「女はいざという時にケンカができないし、交渉に向かない」

「男社会の空気を読まない」

「子育てしながら管理職なんてできるわけがない」

「そもそも管理職になりたがらない」

不満の主は男性ばかりではない。女性側からも「女性上司はやりにくい」「自分もこういうふうになりたいと思える女性管理職がいない」と厳しい声が挙がる。

そういった不満のすべてを難なく乗り越えられる女性しか、管理職になれないのだろうか。

しかし、それでは困るのである。管理職になれるのが、ほんの一握りのスーパーウーマンでなければいけないのならば、ニイマルサンマルは絶対に実現不可能だろう。無理やり数合わせで達成したとしても、それは長続きしない。

もっと言えば、すでにマネジメントの手腕を発揮している女性たちだって、もともとはスーパーウーマンではなかったはずだ。彼女たちは四方から立ちはだかる壁に真正面から向き合い、トライ・アンド・エラーを繰り返し、壁を乗り越えてきた結果として、いま、そこに立っているに違いない。

今、企業社会全体で求められているのは、「女性にマネジメントはできない」と言われてきた根拠となる“壁”を明確にし、誰にも応答できるノウハウとして、その“乗り越え方”あるいは“壊し方”を探っていく方法だろう。

本連載では、実在の女性管理職や企業人事担当者に取材をしながら、女性が周囲にも信頼されて実績を出せる管理職として育つ過程で立ちはだかる課題と解決策を明らかにしていく。