オプジーボ訴訟、280億円で和解 小野薬品が本庶氏側と
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小野薬品の訴訟を巡っては、いったん契約した条件がある中で、本庶氏は「小野薬品と米メルク社の訴訟の中で小野薬品に有利な証言をすることを条件に契約条件の見直しを約束した」と主張していましたが、本庶氏が新たに結んだと主張する内容の「契約書」はなかったとされています。
このような状況で、小野薬品に対し事後的に契約条件の見直しを主張し、訴訟を起こした本庶氏(この研究でノーベル賞受賞)の主張が認められるかに注目が集まっていたわけですが、司法判断の前に「和解」が成立しました。本庶氏が「手当されていないと主張する一連の知財」を含めても、本庶氏と関連研究者に50億円しか払われておらず、実質的には小野薬品側の「ほぼ全面勝訴的結果」と感じます。
ただし、本庶氏は訴訟に際し「(当初はその条件で契約しておきながら)このように低いロイヤリティ(royalty=特許使用料ほか)率では研究者が育たない」との大義を強く主張していたため、「本庶氏の名前を冠した研究教育基金『小野薬品・本庶 記念研究基金』230億円」により、「振り上げた拳の行き場に困っていた」本庶氏にそれをおろしてもらう配慮もしています。(ただしこれは、小野薬品の貢献によることが明文化されている法人としての京都大学に対する「寄付金」のため、損金として扱われることを意味します)。小野薬品としては、「支払い金を企業イメージ向上の対価として位置付けたいところ、思惑通り」といったところでしょう。
小野薬品は当初より契約に基づいた対応をしており、また経緯を見る限り、(契約手続きに)誠実さに欠ける部分があるようには感じられませんでした。逆に当初の契約が事後的に無効になるようなことがまかり通れば、一般論として「事業活動に不都合が生じるのではないか」と思いながら、訴訟の結末に注目していました。
オプジーボの売り上げは、国内だけで年間約1000億円程度になります。世界での売上は日本以外に年間約8000円億円で、ここからの一定割合がロイヤリティ(特許使用料ほか)として小野薬品に支払われています。2Qの営業利益とイコールの額。
先生と心中する覚悟が経営者には必要だったことだろう。
何が悪かったかといえば、契約内容。※裁判より
発明対価が適正な設定ではなかった。小野薬品側は、契約が通った時は喜んだかもしれないけれど、結果的に痛手を負った。
契約の際のバッドケースとして勉強させてもらいました。