2021/11/12

【新】メガヒットの新常識「推しエコノミー」とは何か?

NewsPicks編集部
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、エンタメ社会学者の中山淳雄氏だ。
昨今、「推し活」という言葉がバズワードになっているのはご存じだろう。
推し活とは、ひいきにしているキャラクターやタレント(=推し)を、さまざまな形で応援する活動のこと。この比較的新しい行動スタイルが、現代のメガヒットを生み出している構図を解き明かしたのが、中山氏の新刊『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)だ。
推しエコノミーの背景にあるのは、エンタメ産業に対する消費者の態度の変化だ。
従来、コンテンツを一方的に消費するだけだった「ユーザー」が、制作サイドと一緒になってコンテンツを作り上げていく「ファン」に変容したことが、大きなターニングポイントになっている。
推しエコノミーを支える「ファン」にとって、コンテンツの完成度(ストーリーの面白さやパフォーマンスの芸術性など)は二の次。それ以上に重要なのは「そのコンテンツがずっと存在し続けること」だ。この新たな価値観にしたがって、エンタメ産業のルールが書き換えられているという。
こうした変化は、エンタメ産業にとどまらない、幅広いジャンルの消費活動に波及していく可能性を秘めている。さらに、「クールジャパン」の掛け声もむなしく、いまや米中の後塵を拝している日本のエンタメ産業が世界で新たにプレゼンスを発揮するための戦略も、この流れの中に見いだすことができるだろう。
以下、『推しエコノミー』のエッセンスを紹介しながら、現在エンタメ産業で起きている「地殻変動」に迫っていきたい。
INDEX
  • ライブ化で成功した『鬼滅の刃』
  • 「萌え」から「推し」の時代へ
  • 『ウマ娘』がブレイクした理由
  • 全ユーザーが作品に「参加」できる