[グラスゴー 10日 ロイター] - 米中両政府は10日、温暖化ガスの一種であるメタンの排出量削減、石炭消費の段階的引き下げ、森林の保護など気候変動対策での協力策を盛り込んだ共同宣言で合意した。

英北部で開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)と中国の解振華担当特使が会談して発表した。

ケリー特使は「われわれは協力し、COP26の成功に向けた支援を開始する」とし、「全てのステップが重要で、長い道のりが待っている」と述べた。

解氏は、中国が排出削減目標を強化し、メタンに関する国家計画の策定を目指すと表明。さらに、両国が森林破壊をやめる取り組みを拡大することを望んでいるとし、「COP26の成功を確実にし、野心的かつ均衡の取れた結果を促進するため、双方が連携し、他の当事者と協力する」と言明した。

共同宣言は、中国が2026年から30年までの5年間に石炭消費量の段階的削減を開始し、メタンの排出量を削減すると明記している。

米中は温暖化ガスの2大排出国。ただ、中国の習近平国家主席はCOP26を欠席。さらに、中国が2060年までにカーボンニュートラルを達成する、という目標よりも踏み込んだ取り組みをまだ表明していないことから、気候変動対策の専門家などの間で懸念が高まっていた。

欧州連合(EU)のティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)はロイターに対して「多くの分野で対立する両国が、人類が現在直面する最大の課題で共通の立場を見つけられたことは非常に心強い」と述べ、COP26の成功につながると歓迎した。

グテレス国連事務総長もツイッターへの投稿で、米中の合意を歓迎。「気候危機への取り組みには国際的な協力や結束が必要で、米中の合意は正しい方向に向けた重要な一歩」と歓迎した。

<英首相、文書への合意訴え>

COP26が閉幕まで残り数日となる中、議長国を務める英国はこの日会議でまとめる文書の最初の草案を提示した。各国に対し2022年末までに気候変動対策案を強化するよう要請すると同時に、石炭と化石燃料への補助金を段階的に廃止するよう求めた。ただ具体的な期限は明記されていない。

ジョンソン英首相は、各国首脳らに一段の取り組みを表明するよう訴えるとともに、気温上昇を1.5度に抑えるという目標は依然達成が可能だと強調した。

ジョンソン氏は採択を目指す文書案に関し会見で「われわれは難しいと感じているが、不可能だということはない」と述べ、「1.5度を維持できないわけではない」とし、十分な取り組みがあれば達成可能だと強調した。