COP26の文書骨子案、判明 化石燃料廃止に言及せず
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基本的にですが、条約上の合意文書では、CO2を減らす「手段」について特定することはありません。例えば化石燃料を使ったとしても、それがCCS(発電所や工場の煙突のところでCO2を回収して、地下に埋める、といった技術)なりCCUS(回収した技術をコンクリートに入れこむなどして活用するといった技術)なりで回収されれば、CO2は減少させられます。
化石燃料の使用をやめろ、と「手段」を特定してしまうと、逆に言えば、CCSやCCUS技術を開発しようとする動きを否定してしまうことにもなるので、条約上の文書は、目標値の共有や先進国から途上国への資金支援、どのように減らしたCO2をカウントするか(市場メカニズム)などのルールがまとめられるもの、というのが基本です。
交渉の外の活動(グレタさんなど環境活動家の方たちの主張)と、各国政府間交渉は分けて考える必要があります。交渉の外の活動を見ていると、敵はCO2ではなく、化石燃料なのか?、と思わされることもありますが、基本的には敵はCO2を中心とした温室効果ガスです。
ただ、この問題がかなり政治パフォーマンス化しているので、交渉の外の活動に応えようという動きが出る可能性は高いとは思います。CCSやBECCS、CCUSのコストも大きな課題なのですが、「再エネ一神教」ではこの問題解決できませんので、難しいところ。まぁ合意文書には入らないでしょうね。。
パリ協定で約束された先進国による資金援助は十分進んでおらず、EUは国境炭素税を打ち出した、そんな中で化石燃料の廃止をCOPの合意文書に盛り込むなどは、途上国や新興国の反発を考えれば当然難しいと思えます。
世界が一丸となって気候変動に取り組まねばならない中、無理に化石燃料廃止を要求してサボタージュする国が出ては、せっかくのパリ協定も水泡に帰すでしょう。
今日から閣僚級会合、パリ協定のもとでどう温室効果ガス対策を進めるか、実施指針(ルールブック)の交渉も一層本格化すると思います。どこに決着するのかハラハラして見ています。今回のCOPでは石炭火力の廃止や化石燃料への公的支援の停止など有志の国々でいくつかの合意形成につながりました。これをもって議長国の英国は一定の成果をほこるでしょうし、参加国の妥協の産物である全体の合意文書はマイルドなものになるのは当然のこと。英国のレッドラインは、合意文書に「1.5度目標に向けた努力」を残すことです。