【鈴木健】SNSは、僕らの社会をなめらかにしたのか?
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Facebookが社名を「メタ」に変更しました。2004年創業のFacebookを筆頭としたSNSの時代が、ひとつの区切りを迎えようとしています。
Facebookの内部告発者が「危険なアルゴリズム」に警鐘を鳴らす様子を見て、「そもそもアルゴリズムって何なんだ?」「Facebookはなぜここまで批判されるのか?」と疑問が湧いてきました。今日から一週間、SNSが変えた世界に迫ります。
第一回は、SmartNews創業者のロングインタビューです。今やアメリカで大きな社会問題となっている「政治的分断」ですが、そのずっと前から分断を問題視し、テクノロジーの力でそれを変えていこうとしてきた起業家こそ、鈴木さんです。
鈴木さんは、SNSという「社会実験」をどのように見てきたのか。社会はこれから、どこへ向かうのか。科学や哲学にも精通した鈴木さんだからこその、長期的視点をお届けします。起業家・スマートニュース創業者としてではなく、思想家・鈴木健としてのインタビューになりました。
Facebookが社名変更に追い込まれたのは、何を意味しているのか。ソーシャルネートワークサービスという社会実験を振り返るタイミングが訪れていると感じます。本日より一週間、インターネット時代の現在地と、ポストSNSの可能性を探っていきます。「エコー・チェンバー」という言葉が、流行語のようによく使われるようになりました。ソーシャル・メディアというのは、自分の利きたい声だけを繰り返し聞く(エコー)部屋(チェンバー)をつくり出す道具、であるというものです。
選挙とソーシャル・メディアの関係についての研究が盛んになり、「エコー・チェンバー効果」が指摘されるようになりました。ソーシャル・メディアによって、自分と同じ主張の人々の声ばかり聞くようになった人々が増えた、ということです。
トランプ支持者はトランプ支持者の声ばかり聞くようになり、立憲民主党支持者は立憲民主党支持者の声ばかり聞くようになる、ということです。そういうエコーを聞き続けた人々は、自分は孤立していないと信じ、自信をもって投票する、ということになります。
エコー・チェンバーの空間は実際はごく小規模であることもあり、開票してみれば全然勝てなかった、ということもありえます。
しかし、ソーシャル・メディアで「自分は孤立していない」と信じられるのは、ある意味幸せなことです。自ら進んでマイノリティになりたいという人など、それこそマイノリティで、明らかに少数派でしょう。
この記事でいわれる、「誰もがマイノリティである社会」というのは、自立した個人から構成される社会というやつで、理想的ではあります。しかし、これは人類にニュータイプに進化することを求めるくらい、無理な話です。
米国人であろうと日本人であろうと、大多数の人間は群れに属することを望みます。群れに属することができるからこそ、ソーシャル・メディアはこれほど大きくなったともいえます。