2021/11/8

【鈴木健】SNSは、僕らの社会をなめらかにしたのか?

「ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)」の時代が、ひとつの区切りを迎えようとしている。
2021年10月、米Facebookが、社名を「メタ」に変更した。果たしてこれは、何を意味しているのか。
おそらくそれは、世界で月間29億人以上が利用するフラッグシップSNSの人気凋落だけではない。SNSのようなプラットフォーマーが駆使する「アルゴリズム」への批判が鳴りやまないのだ。
Facebookの内部告発者も、ノーベル平和賞を受賞したマリア・レッサ氏も、一様に「アルゴリズムが社会の分断を過激化させている」と批判を展開。一方、中国では、中毒性を生むアルゴリズムをついに規制しようとしている
フェイクニュースの拡散、メンタルヘルスの悪化、そして社会の分断。SNSが招いたとされる一連の社会問題に向き合うことなくして、もはや世界は前に進めないことを意味しているはずだ。
そうした中、NewsPicks編集部が今、どうしても話を聞きたかった起業家がいる。
鈴木健。SmartNewsの共同創業者CEOだ。
アメリカでこうした「分断」がいずれ社会問題となることを予見し、アルゴリズムを慎重に扱いながらアメリカで支持を集め、いまや企業評価額2000億円を超えるユニコーンへと成長を遂げた。その根底には間違いなく、「なめらかな社会」を実現しようという鈴木の思想があるはずだ。
SNSはなぜ生まれ、世界に何をもたらし、私たちはどこへ向かっているのか。長い時間軸で社会を見据える、思想家・鈴木健の頭の中に迫る。
INDEX
  • 僕らは、歴史の移行期にいる
  • 「アルゴリズム」とは何か
  • SNSの「誤算」
  • ポジティブな「中毒性」
  • SNSは、分断を加速したのか
  • パーソナライズに慎重だった理由
  • 「なめらかな社会」を作るために
  • なぜ、メディアを起業したか

僕らは、歴史の移行期にいる

──2004年の創業から約20年。Facebookが窮地に陥っています。
鈴木 みなさんは、プログラミングをしたことがありますか?
最近は義務教育の中にもプログラミングが織り込まれ、小・中学生でも簡単なプログラミングを学ぼうという流れになってきています。
私は、ここからの100年が、まさに移行期だと思っています。