これでよいのか安い日本。ビッグマック指数で中国やポーランドの下位
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難しい指数化の計算をするまでもなく、1985年(36年前)のビッグマック価格が420円だったのに、足元の価格が390円と値下がりしているところに、日本のデフレの深刻さが象徴的に表れていると思います。
アベノミクスの間に日本の潜在成長率は0.82%から0.19%まで落ちました(日銀推計)。高齢者と女性を働かせたので就業者の伸びが潜在成長率を下支えしましたが、賃金に直結する生産性(TFP)の伸び率は0.81%から0.19%に下がっています。この間、ドル円相場は1ドル80円前後から1ドル110円前後に落ち、名目賃金は多少増えた程度ですから、日本の賃金は世界の中で3割程度下がった勘定です。ビッグマック指数が下がり日本人が貧しくなるのは当然です。
極端な量的緩和で円安を起こして企業の円建ての利益を増やして円建ての賃金を多少引き上げ、株価を上げて好景気を演出したものの、その陰に隠れて日本のビジネス環境の劣化が止まらず、デジタル化が進む世界の中で競争力を落とし、貧しくなっていったのが日本の姿です。この傾向はアベノミクスの間に止まらず、バブル崩壊以降の多くの期間で共通しています。
経済が成長する中で分配が歪んで格差が拡大した先進諸国と異なり、日本の問題は、経済が成長しない中で中間層が等しく貧しくなって、自分たちの所得が企業や他人に召し上げられていると感じる層が増えたところにあるのです。それが証拠に、格差の実態を表す再分配後の日本のジニ係数は、格差拡大を叫ぶ声と裏腹に、1990年以降、縮小気味の横這いが続いています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-09.html
これで良い筈はないですが、分配を強調してばら撒き策をズラリと並べる岸田政権の今回の景気対策を見ていると、この傾向はこの先も変わらないように感じてなりません。バブル崩壊後のマクロ安定化政策が後手に回り、デフレを長期間放置したことによる過剰貯蓄が行きすぎるとこうなります。
サマーズの長期停滞論のお手本のような国であり、企業の労働分配率が欧米並みに上がらず、家計が今の消費よりも将来を重視してお金を貯めこみ続ければ、日本は相対的に購買力を失い続けるでしょう。