宣言の新指標、感染者数の数値なくす方向 政府コロナ対策分科会
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これはいい動き。第五波の終盤からこの方向性だった。第一波のときから実は病床のひっ迫度合いが緊急事態宣言の判断の決め手だったが、それがより明確になる。ワクチンも医療提供体制の改善も進もつつあるいま、新規感染者数は先行指標として引き続き重要。
重症化リスクの高い方が感染した場合でも、抗体カクテル療法など早期に治療介入することで入院や重症化を防げる治療が普及してきています。また米国の報告では、ワクチン接種者では入院のリスクが約30分の1になるとされています。
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7034e5.htm
日本でもワクチン接種の普及率が高まったことから、感染者数のうち、入院を要する人や人工呼吸器が必要になるほど重症化する人の割合は相対的に減ってくることが予想されます。
「感染者数が増えてもコロナの入院患者は増えない」という事態も十分ありえるため、妥当な判断といえるでしょう。感染者の数だけですと濃厚接触者等で判明する無症候感染者が入ります。この方々が隔離されている限りにおいては、それ以上の感染拡大は起こり難いことになりますので、単純に無症候の感染者数を「行動制限の指標」にする必要性は乏しいと思います。詳細は以下の通りです。
政府コロナ対策分科会としては、以前は「いくつかの諸般の事情」から、PCR検査(現時点でのウイルスへの感染が分かるが単に付着していたウイルスを検出してしまうなどの誤差もある方法)の積極実施を避けていたように見えました。
事情うち説得力の高い理由だったと思われるのは、(1) 感染者をすべて受け入れると医療のリソースをより重症の患者に回せなくなる (2) 無症候者が積極的にPCR検査を受けて陽性が判明しても治療薬がない の2点だったと思います。
しかし現時点では、(1)については現状新型コロナ感染症は「2類感染症」であっても強制入院の例外となるように法規が改正されていること、(2)については有効性が見込める治療薬がいくつか認可され、今後もさらに進むことになりそうなことです。したがって、PCR検査を積極的に行い「陽性が出た方に対して積極的な行動制限を行う」方が(社会全体に制限をかけるより)合理的と判断しだしたのだと思います。
この局面では、感染者の数値が「行動制限の指標」として重要視されることのデメリットが大きいと判断しているのだと思われます。以上の経緯によるのだとすると、納得性の高い判断だと理解します。ただし、背景を揃えた状態での感染者数の増減は重要な指標であることには変わりなく、またワクチン接種者の経時的なる理由による抗体減少を間接的に知り、公衆衛生上の対策を行ううえで、引き続き重要な指標になると思います。