[香港/上海 5日 ロイター] - 中国不動産開発の佳兆業集団と子会社3社が5日の香港株式市場で売買停止となった。佳兆業は前日、子会社が理財商品の支払いを実行できなかったと発表、不動産セクターの流動性を巡る懸念が高まり、関連株・債券が売られた。

佳兆業の株価は4日に15%超下落し、過去最安値を更新していた。時価総額は約10億ドルに上る。

佳兆業は理財商品に保証を付与している。4日に出した文書で、厳しい不動産市況と格付け低下により、かつてない流動性の逼迫に直面していると説明していた。

中国の不動産会社の中では、経営危機に陥っている中国恒大集団が今後1年で満期を迎えるオフショア債が最も多く、佳兆業がそれに次ぐ。

ロイターが5日確認した文書によると、佳兆業は深センにあるリテール・商業用不動産を中心とする18件の資産(総額818億元=127億8000万ドル=)を2022年末までに売却する計画。これによって得た資金を理財商品の償還に充てる。

また、同社は深センで95件の都市再開発プロジェクト(評価額6140億元)を抱えており、完成後の売却や早期の処分で資本の強化につながる可能性がある。

メディア「財聯社」は事情に詳しい関係筋の話として、華潤置地といった国有企業が佳兆業の都市再開発プロジェクトの一部買収に向け協議に入っていると報じた。

ロイターは華潤置地にコメントを求めたが、今のところ回答を得られていない。佳兆業もコメントしなかった。

5日の香港株式市場では本土不動産株指数が2.8%下落。この2週間で17.8%下げている。中国本土市場でも不動産株が2.1%下落した。

中国恒大株は2.5%安。デュレーション・ファイナンスによると、恒大の2022年10月償還債は10%超下落し、利回りは300%を超えた。

アジアのドル建てハイイールド債に連動するETF(上場投資信託)は1.5%近く下落。中国のドル建てハイイールド債の利回りスプレッドは過去最大近くで推移している。

CGS-CIMB証券の中国調査責任者は「佳兆業は、新たに恒大的な存在になる可能性がある。当局はいくつか緩和措置を講じているが、あまり助けにならなさそうだ」と指摘。「政府が積極的な緩和措置を取らなければ、債務返済問題を抱える不動産会社がさらに出てくるだろう」と述べた。