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トランプ政権が2018年にEUから輸入される鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税をかけると発表したのは、米国民の雇用を創出するためでした。
 これに対して、EUは、米国産のタバコ、トウモロコシ、オレンジ、ハーレーダビッドソン、バーボン、等々に50%の関税をかける、という対抗措置を用意しました。
 金融とITだけでは米国民の雇用を広く創り出すためには到底足りず、製造業で世界的な中心に返り咲かねば、米国民が格差なく所得を確保できるようにはならない、これはバイデン政権にとっても変わらない課題です。
 バイデン政権が大規模なインフラ再整備でやりたいのも、鉄鋼をはじめ、米国の製造業を立ち直らせることです。
 ただ、鉄鋼もアルミニウムも、今や全世界の過半を生産しているのは中国です。EUも米国の倍くらいは生産していますが、結局、中国からのサプライチェーンを断ち切らないと、米国の製造業復活は無理です。
 2019年だと、
鉄鋼:全世界 19億トン
   中国  10億トン
   EU   1.6億トン
   インド  1.1億トン
   日本   1億トン
   米国   0.87億トン
アルミニウム: 全世界 6400万トン 
        中国  3600万トン
        インド  370万トン
        ロシア  360万トン
        米国   110万トン

ともかく、米国がEUと争ったところで、米国の製造業が立ち直るわけではありません。中国については、まともに競争しても米国製造業に勝ち目はないので、通常ではない手段がとられるでしょう。
 米国とEUの間の合意は、米国によるEU産鉄鋼とアルミニウムへの関税はそのまま、ただし輸入量を増やす。EUは、米国製品への関税は50%ではなく25%にする、ということになりそうです。
18年3月の通商拡大法232条適用は欧州、日本、中国、韓国産の鉄鋼に25%、アルミニウムに10%に関税を賦課するもの。今回の部分解除は欧州産だけでしたが、今後は日本も、という流れにみえます。圧倒的な生産量の中国の場合はまだ先でしょうか。
海外メディアからBREAKINGが相次いでいた件。
米国がEUから輸入する鉄鋼に追加関税を課し、EUが報復措置を発動して対抗していた通商紛争を終結させることで合意しているそう

「米、対EU鉄鋼関税を一部免除 貿易摩擦「妥協案」で合意 バイデン政権」(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3100C0R31C21A0000000/
関税撤廃は、インフレ懸念抑制のイメージに繋がるので、今のマーケットにはポジティブです。
通商拡大法232条による「安全保障上の理由」での追加関税はどう見ても自由貿易原則に合致しておらず、すでにWTOで敗訴したケースもある。EUは報復関税をかけたことで米国も交渉に応じた。日本も232条の追加関税の対象なのだが…。