アメリカのスタバ時給1900円から考える「安い日本」
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「ビジネスのリスクをゼロにできない以上は雇用のリスクもゼロになるはずもなく、その状況で解雇という手段だけを封じてしまえば別の形、別の場所で雇用リスクが爆発する」、「解雇されないというメリットは低賃金、長時間労働、突然の転勤、女性の冷遇とあらゆる形でデメリットとして形を変えて発生しており」 （＠＠。
まさにその通りで、この特性はコロナ禍の中でもはっきりと見えました。
新型コロナウィルスが本格的に日米欧を襲った昨春、米国の失業率は４％弱から１５％に駆け上がり、その後、仕事が無くなった企業から仕事が増えた企業への人材の移動を伴いながら下がって行きました。だから米国の賃金はコロナ禍の最中も上がり続けています。
整理解雇の４条件が幅を利かし政府が雇用調整助成金を積み増して解雇を防ぐ日本では失業率は殆ど上がらず、急増したのは一気に６百万人に達した社内失業状態の休業者です。６百万人といえば失業率に換算して約１０％。日本ではその後、企業は雇用を維持したまま残業を減らし賞与を減らし出向先を求めて余剰人員を吸収して行きました。だから日本では、少子高齢化でマクロ的には労働力不足であるにも拘わらず人材の移動が不十分で、コロナ禍のなかで賃金は下がり続けているのです。
企業団体が終身雇用制度の入り口である新卒一括採用ルールの廃止やJOB型雇用への移行を主張するのは日本を衰退に追い込むこうした枠組み是正するためですが、職業訓練や職業斡旋が官庁を主体にした既得権益の温床で十分に機能せず、雇用保障の仕組みも企業を守って解雇させないことを前提に個人に手薄な環境下では、働く側が変化に及び腰になるのは当然です。そして競争に晒されない官庁に居心地の良い終身雇用を変えるインセンティブは働きません。変えようとするどころか、率先して定年を６５歳に延長して日本型雇用の仕組みを強める始末。
雇用保障の仕組みに限らず既得権に根差す様々な規制が積み重なって世界の変化に対応できず、日本は停滞を続けて来たのです。今回の選挙の各党の主張を見ていても、残念ながら日本は変われそうにないところが残念です。(*_*)吉野家の値上げで騒ついている場合ではない。物の値段も賃金も適正な価格になっていくことで貧窮から国を救う必要がある。が、皮肉な話だが、解雇規制撤廃ないしは緩和など段階的に痛みを伴う改革は不可避だ。
批判も出るだろうが長期的にはどうしても国民一人一人にキャリアだとか教育だとか政治だとか老後見据えた資産運用とか、関心を持って生きていってもらわないとならないと思う。勿論国が支え続ける、という今の形もあるにはあるがそれもまた経済成長無くしては難しい。分配は必要だが、その前に成長が必要。賃金が低いのは解雇されにくく失業率も低位で安定していることとのトレードオフでもあります。別の考え方をしてみてもボラティリティが低いという事はリスクが低いのでその対価(=賃金)も安いとも言えると思います。
2点目は形式的ななんちゃって労働組合しか存在しないので組合が企業と本格的に賃金交渉することはほぼないことが賃金が上がりにくい社会的な理由です。
例えばデンマークのマクドナルドの時給は22ドルですがこれは労働組合による交渉力が大きいです。
https://www.snopes.com/fact-check/mcdonalds-workers-denmark/
3点目は欧州や英語圏の国と比べると語学面のハンデなどにより日本で働く事が前提となり他にオプションがない人が多いことも大きいでしょう。海外の労働市場にアクセスできれば当然賃金差は解消されます。
以前この点についてコメントしていますが、社会も個人も色々な意味で受け身で待っていても改善はしないと感じています。
https://newspicks.com/news/6198128/?utm_source=newspicks&invoker=np_urlshare_uid289374&utm_campaign=np_urlshare&utm_medium=urlshare
