[ワシントン/米大統領専用機上 28日 ロイター] - バイデン米大統領は28日、自身の看板政策の一つである気候変動・社会保障関連歳出法案を巡り、規模を1兆7500億ドルとする新たな枠組みを発表し、民主党内での全面的な支持の獲得に自信を表明した。

新たな枠組みは当初案の規模から大幅に縮小された。気候変動対策や就学前教育向けなどの支出は確保するが、家族有給休暇や超富裕層を対象とする増税は含まれない。

バイデン大統領は20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するためイタリア・ローマに出発する前、下院の党員集会に足を運び、「何カ月にもわたる厳しく、かつ思慮深い交渉の末、われわれは歴史的な経済的枠組みを確保した」と発言。新たな枠組みへの支持を呼び掛けた。

ホワイトハウスは、すでに上院民主党50人全員の支持を得ており、下院でも可決されると確信しているとした。

ジャンピエール副報道官も、バイデン大統領は民主党議員らとの対話を踏まえ、議会通過に自信を示していると語った。

イエレン財務長官は声明で、バイデン大統領が推進する歳出計画が米経済をより良い方向に導くと称賛した。

しかし、1兆ドル規模の超党派のインフラ投資法案の早期成立を望む党内の穏健派と、大規模な歳出法案を巡る採決を同時に実施しないのであればインフラ法案を支持しないという進歩派の間ではすれ違いが続く。

進歩派議員連盟「プログレッシブ・コーカス」の会長を務めるジャヤパル下院議員は、歳出法案の新たな枠組みに関する「法案の文書を確認する必要があり、インフラ投資法案と同時に採決を実施する必要がある」とし、インフラ投資法案の採決を阻止する十分な票を獲得していると言明した。

サンダース上院議員も、歳出法案の明確な文言を確認し、民主党上院議員50人の支持が明らかになるまで「下院は超党派インフラ投資法案の採決を決行すべきでない」と述べた。

関係筋によると、ペロシ下院議長は28日に超党派インフラ投資法案の採決実施を目指していた。しかし、こうした状況を踏まえ、下院民主党指導部は同日の採決を断念した。

バイデン大統領は11月3日までワシントンを不在にする。

関係筋によると、大統領は28日に下院民主党議員と面会した際、「あなた方の助けが必要だ」、「来週の動向によって下院と上院の(民主党の)多数派優位と私の大統領職が決定付けられると言っても大げさではないと思う」と訴えたという。バイデン氏は国内で拡大する格差の是正を公約に大統領選に出馬した経緯がある。

バイデン氏はホワイトハウスで、「誰も望むもの全てを得ていない。私もそうだ。しかし、それが妥協でコンセンサスだ」と述べた。

オバマ元大統領も同様の見解を示し、「ビルド・バック・ベター(より良き再建)計画には大統領の提案全ては含まれていない。しかし、それが民主主義における前進というものだ」と述べ、同計画について「大きな前進」と評価した。

当初案から縮小された新たな枠組みには家族有給休暇や超富裕層を対象とする増税は含まれない。ホワイトハウスによると、トランプ前政権下で実施された税還付措置の一部巻き戻しや企業の自社株買いに対する課税、富裕層の個人所得税に対する追加税率が財源となる。

労働組合を含む多くの団体は、新たな枠組みを歓迎した。ただ、一部の有力ロビー団体などはバイデン政権の主要な公約が含まれていないことを批判した。

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