大株主情報350万社に要請 法務省や銀行、マネロン点検
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重要な一歩ですが、これだけではほとんど意味がないと思われます。なぜならvillain達が直接株主名簿に登場することなど皆無だから。マネロン調査は複数のシェルカンパニーを遡り、最終的なオーナーが誰かを突き止められるかどうかが勝負です。
このテーマでは、調査報道ジャーナリストの国際グループICIJによる分析結果を綴った「パナマ文書」が一読の価値ありです。ドイツには無記名株券というものがあり、物理的に株券を持っている人が株主と見做されるとのこと。(日本では名義書き換えをしなければ株主権利の行使はできません。)これと、海外での脱税行為は罪に問われないというドイツ法を背景にした、数多の在ドイツ金融機関のモサフォンとの関わりが詳らかにされています。
舞台となる弁護士事務所モサック・フォンセカの創業者は元ナチス武装親衛隊の伍長からCIAと独情報機関BNDの協力者に転じた男を父親に持つユルゲン・モサックと、パナマ与党の副議長という大物政治家ラモン・フォンセカ。顧客リストにはメキシコのドラッグカルテルや多数のプーチン関係者、世界一腐敗がすすんでいるとされる赤道ギニアをはじめ、中南米・中東・アフリカ諸国の独裁者たちがズラリと並び、日本で報道された「お金持ちの脱税ごっこ」のようなイメージとは次元が違います。SPC=悪ということではない点に注意は必要ですが、このような世界に光を当てるのは非常に重要だと思います。
ICIJは、パナマ文書をはじめとする調査報道の対象となったデータベースを一般公開しています↓
https://offshoreleaks.icij.org/ことスタートアップに関して言うと、当局が反社/反市のチェックをして返してくれるのなら、大株主情報のみと言わず、株主名簿そのものを喜んで差し出すと思いますよ。
なんなら株主になる前の段階で照会させて欲しい。反社/反市を株主に迎えたいなんて思う経営者はまずいませんから。欧州の弁護士を新たに起用しようとする場合、実質的な支配者の情報を求められるケースが増えていました。弁護士事務所も金融機関と同様に実質的なゲートキーパーとしての役割を期待されているからです。
(まだ日本ではそれほど報道されていませんが)現在、パンドラ文書という新たな大量の文書リークに基づく報道が、欧米で活発化してきています。
https://www.icij.org/investigations/pandora-papers/
具体的に内容を見ていくと、「それは確かに問題だ」と感じるものと、「それほど大きな問題ではないんじゃないか」と感じるものが、一緒くたに「全部問題である」として批判されているように感じるのですが、いずれにせよ、資本の透明化を求める動きは、今後もさらに進んでいくと思われますので、要注視ですね。