[25日 ロイター] - 米フェイスブックは25日、中核の広告事業が「著しい不確実性」にさらされる中、ハードウェアや仮想現実(VR)、拡張現実(AR)に特化する「フェイスブック・リアリティ・ラボ(FRL)」を第4・四半期から、業績報告に際して別セグメントに分離すると明らかにした。

第4・四半期については、アップルのプライバシー規約変更の影響がデジタル部門の業績を圧迫するという見通しを示した。

第4・四半期売上高見通しは315億─340億ドルのレンジとし、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の348億4000万ドル(24.1%増)を下回った。

ウェーナー最高財務責任者(CFO)によると、FRLへの投資が21年の営業利益全体を約100億ドル下押しする見通し。

フェイスブックは、VR端末を手掛けるオキュラスの買収など、VRやARに多額の投資を行っており、「メタバース(巨大仮想現実空間)」構築に向けたプロダクトチームを立ち上げている。これに関連し、今月には欧州で今後5年間に1万人を新規雇用する方針を発表した。

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け会見で「近い将来に利益を生み出すような投資ではない」と説明。「しかし、当社はメタバースがモバイルインターネットの後を継ぐと基本的に想定している」とした。

合わせて発表した第3・四半期売上高は290億1000万ドルと、前年同期の214億7000万ドルから増加したものの、市場予想の295億7000万ドルを下回った。アップルのプライバシー規約変更で企業の広告出稿が鈍った。利益は17%増えた。

シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)によると、世界的な供給網の混乱と労働力不足も、多数の業種や地域で広告需要を圧迫する要因になったという。

月間アクティブユーザー数は前年比6%増の29億1000万人で、市場予想に届かなかった。

ザッカーバーグ氏は同社のサービスについて、年齢の高い層から若年成人にターゲットを移していると説明。完全な移行には数年かかると予想した。

同社を巡っては、元社員のフランシス・ホーゲン氏による内部告発や同氏が持ち出した内部資料に基づき、サービスの安全性より利益を優先する企業体質を巡る報道が相次いでいる。ザッカーバーグ氏はアナリスト向け会見の冒頭で一連の批判記事について「不正確」だと反発した。

第3・四半期には143億7000万ドル相当の自社株を購入。今後さらに500億ドル分を購入する計画。

同社はブランド再構築の一環として社名変更を計画していると報じられていたが、新たな社名の発表はなかった。

引け後の時間外取引で、フェイスブックの株価は約1%上昇した。年初からは約20%値上がりし、時価総額1兆ドル回復まであと約850億ドルに迫っている。

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