タンパク質の構造予測に成功したディープマインドのAIコード:その公開の遅れが意味すること
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注目のコメント
記事が読めないので憶測でコメントしますが、
学術的にはコードの公開はとてもありがたいです。再発明をしなくてもよく、そこを起点に研究が進められます。
一方で、それに産業価値がある場合ライバルにみすみす無料で技術を提供してしまうリスクが伴います。AI研究だって無料にできるわけではありません。むしろ、高給とりの研究員を擁し、ものすごい価格とものすごい電力消費量のサーバをぶんぶん回す必要があります。
そのバランスはとても難しいです。
一方、そんなことを一切考えずにすべてを公開することでその心意気や公開することで透けて見える高い技術力で更に優秀な人を集めるという戦略の企業もあります。ディープマインドが大学や国公立研究機関の一部であったとすればコードの公開は、必須もしくは、とても称賛される行為だと思います。ですが、ディープマインドは、私企業です。タンパク質の構造予測がよくなったことは、快挙だと思いますが、あえて言うと公開したところだけでは、企業の競争優位ではないのです。構造未知のタンパク質が決められるだけでは、どうやってマネタイズするか、というところと意外とつながりません。
創薬に取って必要なのは、薬物候補と標的タンパク質との複合体構造の予測です。(そして、その後、それを基にした活性の定量的予測と言うのが続きます。)ディーマインドがここで公開したことは、企業戦略として誤りか、というとそうではないと思います。
現在、アルファフォールドの予測構造をもとに多くの企業、アカデミアの研究者が医薬品候補の絞り込みに使えるかの検証、改良などを行っている最中だと思います。そして、ディープマインド自身もそういった研究を行っているでしょう。これで終わりというわけでなく新たなステージの始まりと言ったところだと思います。人工知能研究で世界を牽引するグーグル傘下のディープマインドは、タンパク質の構造予測という生物学の根本的な問題を解決した一方で、そのニューラルネットワーク「AlphaFold2」のコードをすぐに発表しなかったことで物議を醸しました。