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実は、中国は2030年まで石炭火力発電所をどんどん増設してCO2の排出量を劇的に増やす予定にしています。
2060年の目標は、世界の目標からとりあえず10年遅らせておくというだけでしょう。
本気でやるなら、GDP当たりのCO2排出量が多いメイドインチャイナの製品は環境悪いと消費者が意識することが重要でしょう。
中国がパリ協定に提出している目標は「2030 年までに CO2 排出量をピークアウト(頭打ち)するよう努力し、2060 年までにカーボンニュートラルを実現する」というものです。
皆さんお気づきの通り、2030年までにピークアウト=2030年までは増やせるということです。
そもそも中国の経済成長見通しは、2030年頃にはピークを打つということなので実はこれは何も努力しなくてもできるんじゃないか、という批判は常にありました。それでも中国としては、この目標以上に譲る気はないし、先進国が2050年のCNを目指すなかで、10年遅れでのCN(先進国のCN達成の成否が明らかになっているので、交渉の勝負はしやすいですね)というのも動かすつもりはないということでしょう。
これが中国の「回答」。ただ、確かに中国を一方的に避難するのもおかしくて、英国などは、自国から出るCO2は減ってますが、それは国内に製造業が無くなり、中国等からの輸入に頼っているから。英国人の生活に伴って排出されるCO2は別に減っていない、という研究があることは以前も書いた通りです。
COPの交渉で目標を引き上げさせろ!という方もいるのですが、高い目標を万一引き出せたとしてもあまり意味は感じません。
ただ、中国は再エネに適した広大な国土があり、かつ、原子力もどんどん新設しています。2010年以降世界では68基の原子力が新設され送電開始していますが(商用基ベース)、そのうち39基は中国です。2010年なんて、1年間に建設開始されたのが10基。
8割まで行くかどうかは別として、非化石燃料比率の引き上げが進むことは期待できるでしょう。
足もとでは、電力不足が起きているので、政府が2.2億トンの石炭増産指令を出したとか。日本が1年で使う石炭の総量が1.7~1.8億トンくらいですので、この国の規模感・・。
足元で、中国は電力不足となり、石炭生産と発電を一気に進めている。長期的に脱石炭を進める方向ではあるものの、短期で電力需要が伸びたときは石炭火力に頼らざるを得ない。そして鉄鋼とかでもそうだったが、短期のそういう需要があると、結局キャパとしては事業者も政府もなかなか削減しきれない難しさがある。
再エネは一定のボラがある。火力でもガスは在庫保管期間が限られている。そうすると、非化石燃料80%以上を達成するには、原発比率を上げる、夜間でも発電する風力も使い、日中のピーク需要はソーラーと同期させ、それで足りない部分は電池(揚水含む)という形になるかもしれない。ボラが大きいものの比率が上がるほど難しくなるし、ものすごい量の電池・揚水投資が必要になりそう…
10月2日:中国指導部が鉱業各社に石炭フル生産命令、電力危機対応-関係者
https://newspicks.com/news/6235667
10月20日:中国の主要石炭生産者、増産と価格抑制を表明 政府の要請で
https://newspicks.com/news/6283824
温暖化対策で多くの国々がさまざまな対策を打ち出していますが、先送りが目立つという印象を受けます。
率直に言ってしまえば、人間というものは目に見えない将来世代より今の自分たちの方が大切ですから。
一方、大場氏の見立ては、2040年頃にゼロエミッションの見直しが出るとの予想。
https://koken-publication.com/archives/1126?fbclid=IwAR0CZs5LYoE3F04YcCfEkhlbz2c3tN20czSTtma4AkEJqYQ1eKt6rwPKRmo
時系列的に、中国は上手いトラックにいると思います。