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中国、外交の柔軟性失う

日本経済新聞
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  • 笹川平和財団 上席研究員

    中国の外交が柔軟性を失うのは、そうせざるを得ないからでもあります。記事が言うように、習近平総書記への権力集中が周囲の忖度を生んでいるという側面もあると思われますが、習近平氏自身も強硬な対外姿勢を取らなければならない事情があります。
    今年に入って繰り返し公開される中国人民解放軍の台湾上陸を意識したかのような訓練動画などは、台湾の軍人が見れば、実際の上陸作戦のごく一部を切り取ったもので、事さらに格好良く見せようとしているものの、実際の着上陸作戦はそのように実施できないと理解できるものです。
    例えば、中国東部戦区の水陸両用戦車が味方の陸岸から着上陸作戦を実施する対岸まで自力で洋上を航行し、対岸に砲撃を加えている動画もありましたが、中国大陸と台湾の間は、最も狭いところで200キロメートル強あります。この距離を水陸両用戦車が自力航行するのは現実的ではありません。燃料の無駄遣いですし、重い車体に比較して非常にか弱い水上での推進装置しか持たない水陸両用戦車が、海流が早く複雑な海峡を自力で渡れるかどうかさえ危ぶまれます。
    一般的に、水陸両用装甲車は、揚陸艦に搭載されて着上陸地点の40から50キロメートルの洋上で自力航行を始めるのです。本当はもっと近づいた方が水陸両用戦車には良いのですが、それ以上近づくと敵の地上に設置されたレーダーに揚陸艦が捕捉され、攻撃される可能性が高くなります。
    そうすると、シナリオ仕立てにして格好良く勇ましく見せるこの動画は台湾に対する軍事的圧力というより中国国民に対して、共産党あるいは人民解放軍は台湾を武力解放する能力があるのだと示すためのものであると考えられます。中国国民の多くに、このような強硬姿勢がうけるということです。
    習近平氏自身、国民の支持を集め権威を維持するために、強硬な対外姿勢を取らざるを得ない側面もあると思われます。中国にとっては、外交やパブリック・ディプロマシーの効果よりも、あるいは国際社会からどう見られるかよりも、国民からどう見られるかの方が深刻な問題であるとも言えます。


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