【解説】財政赤字は是か非か。米経済政策の行方を握る大論争
コメント
選択しているユーザー
注目のコメント
財政支出を受けた人や企業が、それを有効に活用すればまだしも、多くの場合そうならない。それには根源的な理由がある。それは、財政支出が政策目的を達成したか否かが厳しく問われることがほとんどないからである。それは、洋の東西を問わず、大なり小なり同様である。
財政支出を受けても、その後の成果が問われなければ、受けた人や企業が有効活用する保証はない。また、有効活用する義理も義務もない。それでは、政策目的はうまく果たせない。まさに、政府は、出したら出しっぱなしとなる。財政支出では、人や企業の行動の規律付けはできない。
財政赤字は、そうした財政支出拡大のレバレッジとなる。
財政支出によって経済成長をうまく喚起できないのは、それは上記の要因を踏まえれば、当然と言えば当然だ。給付をもらっても消費に回さなければならないという義務は受給者にはない。投資を喚起しようと財政支出を受けた企業が、企業業績を上げようというインセンティブはあっても、それでGDPをどれだけ増やすかは結果オーライにすぎない。財政支出をルーズに使わないようにする規律はどこにもない。「過去10年余りの間に、財政赤字や国の借金、長期にわたる社会支出といった問題に対するエコノミストの見解は、大きく変化した」とありますが、残念ながら日本では大きく変化してませんね。
なお、標準的なマクロ経済学的には、政府と中銀が連携するか否かで変わってきますが、リーマンショック以降の欧米やアベノミクス以降の日本のように、政府と中銀が連携する状況では、完全雇用下では非になりますが、不完全雇用下では是ということになります。コロナパンデミックが経済政策と財政のバランスを変えてしまいました。金利が低いからといって借金を積み重ねていけば、いずれ金利が上がった時の返済ができなくなる恐れがあります。
しかし、いま救済しなければ経済が回らなくなるという緊急事態で、無策という選択肢はありません。超大型の救済策は、将来の禍根となるのか、成長エンジンとなるのか。バラマキ政策ではダメということは明白です。
将来、生産性を向上させるインフラ投資、教育投資などをしっかり計画に入れることが大切ですね。