2021/10/29

【歴史に学ぶ】米国はどこで中国を「見誤った」のか?

NewsPicks編集部 記者
いつか変わると思っていたのに、結局ずっと変わらなかった──。
1979年に国交正常化してからの約40年、アメリカ合衆国は一貫して中国への「関与」政策を続け、経済成長を後押ししてきた。
敵対する社会主義陣営であった中国にアメリカが関与を続けたのは、「いつか変わる」という期待があったからだ。
中国が民主化に近づき、手を携えあえる関係になれば、敵対する大国が友好的な巨大マーケットに変貌する。
しかし、トランプ前政権で米中関係は悪化し、バイデン政権になっても好転する兆しはない。
アメリカは中国に何を期待し、なぜ今、失望しているのか。
改めて歴史を振り返りながら、今後の展望を考えていこう。
近著「米中対立──アメリカの戦略転換と分断される世界──(中公新書)」で米国の対中政策の歴史を振り返った、東京大学東洋文化研究所の佐橋亮准教授に話を聞いた。
INDEX
  • 中国という「微妙な存在」
  • 「いつか変わる」という期待
  • 中国専門家たちの「転向」
  • 目の前の光景が「エビデンス」
  • 「反多様化政策」は必然だ
  • 2050年頃に米国が「再逆転」
  • 米中対立の「終わり方」
  • 「諦め」も「期待」もない
  • 戦略な「ダメージコントロール」の時代
  • 「窮屈さ」への慣れが必要

中国という「微妙な存在」

──トランプ政権からバイデン政権に代わっても米中対立は続いています。どう理解すればよいのでしょうか。