[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21日、個別株の購入と個別債券の保有の禁止を含む、FRB当局者による投資活動に対する広範な制限を発表した。

新たな規制の下、FRB当局者が保有できる金融証券の種類が制限されるほか、いかなる取引も45日前までの事前の報告と承認が義務付けられ、少なくとも1年は投資を維持することが要求される。

FRBは声明で、新規制は投資判断の時点で利害衝突が疑われる状況を防ぐのが目的だと説明。

パウエルFRB議長は声明で「これらの一段と厳格な新規則で、全てのFRB当局者が公的使命に集中することを保証するためのハードルが高められる」とした。

FRBでは、ダラス地区連銀のカプラン総裁とボストン地区連銀のローゼングレン総裁が相次いで退任。両氏に対しては昨年の金融商品への投資を巡り批判が高まっていた。これに先立ち、パウエル議長はFRB当局者の金融資産の保有と取引に関する倫理規定を抜本的に見直すよう指示していた。

新規制の下で、FRB当局者の積極的な取引は明確に制限され、保有が許可される証券は投資信託などに限定されるほか、売買についてはFRBの倫理担当者が事前に審査する。

また、当局者が着任時に保有していた個別株は保有し続けられるが、1年以上の保有が求められ、売却の際は事前報告が必要になる。

一方、当局者は新たに保有が禁止される広範な資産の売却を迫られる。適用はパウエル議長も例外ではなく、保有する複数の地方債を最終的に売却せざるを得なくなる公算が大きい。

このほか、新型コロナウイルスのパンデミック初期のような緊急時には、あらゆる投資活動が禁止される。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁はCNBCの番組で、新規制の発表により、FRBの倫理規定を巡る議論が落ち着き、政策協議に再び集中できるようになることを望むと語った。

ホワイトハウス報道官は、バイデン政権はFRBの独立性を尊重しているとし、「バイデン大統領は、独立機関を含む全ての政府機関は利益相反の疑いの回避を含め、最高の倫理基準に従うべきだと考えている」と述べた。

新たな規制はFRBの信頼回復に向けた重要な一歩と評価する声が上がる一方で、パンデミック下での当局者の投資活動が違法でなかったかどうかについて司法省などによる検証が必要との指摘もある。

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