エレファンテック「プリント基板製造装置で世界首位に」
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注目のコメント
プリント基板そのものではなくて製造装置で世界首位か…つまり、ピボットしたということ?
追記
プリント基板業界では得意領域によって世界首位が異なる。最近話題の多層複合基板、普通のRigid 基板、FPC(フレキシブルプリント基板)と呼ばれるポリイミドフィルムと銅箔で構成された薄い折り曲げやすい基板。
HP見る限り、エレファンテックが勝負する領域はFPCの置き換えだろうと思う。
日本はFPC業界では長らくNOKの子会社である日本メクトロンが首位を保ってきたが近年は鴻海傘下のAvary(旧ZDT)にその座を追われている。そのほかにフジクラや住友電工もFPCではある程度のシェアを維持しているが総じて台湾系のFPCメーカーとの戦いに押され気味である。FPC業界だけで約2兆円くらいの市場規模がある。
通常、FPCの基板の配線はポリイミドフィルムと銅箔を貼り合わせた後に銅箔をエッチングと呼ばれる手法で溶かして設計通りのパターンを作る。環境的にも負荷はあるし、コスト的にもそれなりに手間暇がかかる。(ほかにadditiveと呼ばれるメッキを積み重ねる方法もある。) FPCの製造については下記が詳しい。
https://www.mektron.co.jp/product/fpc_process/
エレファンテックが取り組む安価な印刷手法は確かに実現すると、電流値が低いセンサーなどの一部のアプリケーションでは置き換えが可能な可能性はある。一方で、どんなアプリケーションでも置き換えられるわけではないだろう。印刷で配線を分厚くするのにも限界はあろう。
流せる電流値は配線の太さと幅(つまり、断面積)そして金属そのものの抵抗値に依存する。
(参考:https://detail-infomation.com/circuit-board-1mm1a/ )
また、金属の種類によって抵抗値は変わる。今は彼らは銀ナノ系材料が主体のようだが、これはインクジェットで吐出するからインクジェットのノズルの径に合う材料を選んでいるからだろう。
銀はマイグレーションを起こしやすい材料だが、その辺りはある程度は対策されているのだろう。エレファンテック社はその技術レベルの高さも注目ですが、事業会社とのオープンイノベーションを次々と生み出している点に注目です。
ただの提携ではなく具体的なアクションにまで動かしきっている点は事業会社サイドもスタートアップサイドもベンチマークすべきかと。
下記具体的にアクションとなった連携の実績
■三井化学名古屋工場内にインクジェットによるフレキシブル基板の量産プラントを設置
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2019/2019_1015.htm
■エレファンテック、エプソン製ヘッドを用いた「インク吐出評価サービス」を開始
https://www.elephantech.co.jp/pickups/media-fabcross-20200508/日本発でグローバルスタートアップになりうる可能性の高い企業です。
現在はプリント基盤の開発ですが、2023年からはプリント基盤”製造装置”の販売を計画しているようです。最大の価値は従来よりもはるかに少ない水やエネルギーでほぼ同等、またはそれ以下のコストで製造できること。
エレファンテック URL:https://www.elephantech.co.jp/
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あまり詳しくないので、T.Rikiさんのコメントがすごく気になります
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追記
T.Rikiさん
大変詳しいご解説ありがとうございます。
かなり理解が進みました。
ありがとうございます!