2021/10/21

【成田悠輔】民主主義を「アップデート」する方法を考えよう

ドナルド・トランプ氏が米大統領の座を勝ち取った2016年の大統領選について、ある研究が話題になった。
それは、現行の一人一票ではなく、「票を平均余命ごとに重み付けする」、つまり若い人ほど票の割合が多くするとどうなるかをシミュレーションしたものだ。結果は逆転し、ヒラリー・クリントン氏が勝利した。
この研究を発表したのが、イェール大学助教授の成田悠輔氏だ。
成田氏はデータやアルゴリズムを用いた公共政策やビジネスモデルの策定を専門とする経済学者だが、近年は政治や民主主義にもその研究範囲を広げている。
その中で、先進国では当たり前となっている民主主義の「負の側面」を指摘する。
確かに近年は、民主主義にまつわるネガティブな現象が多く見られる。シルバー民主主義、知名度向上を狙った炎上商法、エビデンス度外視のコロナ対策。
政治家の関心は「票を取りやすい」政策に偏り、長期視点が必要な気候変動対策や社会保障の改革、子ども政策の拡充は遅々として進まない。
こうした民主主義の問題は、どう解決すべきなのか。成田氏にじっくりと聞いた。
写真:本人提供

炎上商法と民主主義

──成田さんは、民主主義を見直す思考を進めています。なぜ、民主主義に問題意識を抱いたのですか。
成田 民主主義や選挙の現状が異様に見えるからですね。