2021/10/20

末端投資家の力で企業を変える。「株主民主主義」の新時代

INDEX
  • 見直される「個人の発言力」
  • 強すぎた「ファンドの力」
  • 巨大企業を動かす新興ファンド
  • 議決権の方針をアンケート投票
  • 規制当局も動きはじめた

見直される「個人の発言力」

上場企業の株式を購入したとしよう。理論上、あなたはその企業の共同所有者となり、取締役会に提出される重要な事案について投票権を持つことになる。
しかし、何百万もの人々は株式を所有しているにもかかわらず、米国の上場企業の意思決定に対して事実上ほとんど発言権を持たない。
問題は、それらの株式が投資信託、ETF(上場投資信託)、年金基金などを通じて間接的に保有されていることだ。
現行の規制の下では、本来ならば株主や年金受給者・受給権者に与えられる議決権をこれらのファンドが支配している。株式の間接所有が増えるにつれ、問題は深刻化している。こうした障害のために、「株主民主主義」という概念は矛盾したものになっていた。
だが最近、3つの分野で株主の発言力を著しく高める進展があった。
ひとつめは、個人投資家を対象とした革新的なファンドの登場。ふたつめは、資産運用会社の影響力の再配分。これにより、年金基金や大学などの機関投資家が委任投票をコントロールしやすくなる。そして3つめは、プロキシーアクセスや投資家の選択を制限していたトランプ前政権の施策を覆すための、新たな規制の検討だ。
(keport/iStock/Getty Images)