製造業DXは「工場のスマート化」で終わりじゃない、今押さえるべき「PLM」のあり方
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第4次産業革命のビジネス実務論に
製造業DXは「工場のスマート化」で終わりじゃない、今押さえるべき「PLM」のあり方
寄稿しました。
第4次産業革命がもたらすデジタルトランスフォーメーション(DX)のうねりの中で、製造業は「共通のニーズに対応できるモノを大量に作り、販売する」という、モノの機能価値に重点を置いたビジネスモデルから、「多様なニーズに対応したモノを提供し使い続けてもらう」という、モノの利用価値に重点を置いたビジネスモデルへの変革を迫られています。こういった時代には、製品ライフサイクル管理(PLM:Product Lifecycle Management)の考え方も変わってきます。今回は、マスカスタマイゼーション時代におけるPLMのあり方について考察しました。記事中に触れられているように、製造業は体験・LTV等の消費財・小売・流通で普通に実行される顧客分析が求めらる時代になってきました。
スマートファクトリーにどうしても目が行きがちですが、ユーザー(カスタマ)ファーストという視点を取引先から、最終エンドユーザーへ置き換えると、PLMの新しいあり方という視点に落とし込むことができます。
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顧客の使用しているモノや環境、VoC(Voice of Customer:顧客の声)やニーズなどを常に吸い上げ、モノづくり側にフィードバックできるようにすることが必要筆者の指摘する通りだと思います。
量産品であれば3Dソフトウエアで設計する手間も、生産や営業企画でも活用できるというメリットも大きいでしょう。
一方では、受注生産で一品一様の製品の場合は、3Dによる設計は、2Dの1.5倍もの手間がかかります。効率化のために、図面の流用がされているような設計部門で、効率が低下する3Dで設計する気にはなれないでしょう。早く図面を引いて、見積りや営業、購買に手渡したいでしょう。
しかし、たとい受注生産であっても3Dで設計し、生産や営業、さらに顧客の納品してからでも、作成した3Dのデータを徹底的に活用するという全社利用が実現できれば、納めてからのサービスや継続的な受注活動に付加価値もつけやすくなります。
その上納めた製品からセンシングデータを取得することができるようにすれば、保守メンテナンスサービスにもつながるだけでなく、製品開発にも利用できます。
受注生産だから、顧客の要求仕様を満たしていればいいと考えるようなベンダーは、顧客が求める以上の付加価値を付けられず、結局コストを下げるしか受注できなくなるだけです。
顧客の真の満足は、価格や納期ではなく、顧客の事業が成功することによってしか得られないのです。担当者同士の会話では、価格や納期だけだとしても、顧客の事業はそれだけに終わるわけではありません。
故障やトラブルがなく、顧客の事業の思わぬ損失を防いだり、納入した自社製品だけでなく全体のシステムに統合できるようにすることで、全体最適につなげるという働きかけを行うことです。自社製品以外は知らないとか責任はないとか、責任を回避するのではなく、顧客と3Dを活用できないかと相談しながら、他のベンダーの製品とも統合していくという、提案です。
困難な提案ですし、余計なことだと社内からの反発や顧客の反応の悪さに見舞われることでしょうけれど、センシングデータは他社の製品からも取得できるということにチャンスがあると思います。
将来単品受注のビジネスからエンジニアリングを手がける可能性をみすみす見逃すのは勿体無いです。