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【解説】真鍋博士の研究は、温暖化の予測にどう貢献したのか

NewsPicks編集部
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  • 国内航空会社 気象予報士

    インタビューを受けている渡部先生も、日本における温暖化研究の第一人者といってもいい方ですが、先生に言わせれば、温暖化に絡んだ研究テーマは博士課程などで研究している当時は学会の中でもイロモノ扱いで、気象学の第一線ではなく傍流の扱いであったと述懐しておられました。渡部先生ご自身は、異常気象が発生した時にそれが地球温暖化の影響があるのとないのとで発生確率がどのように変わるのか、というイベントアトリビューションの手法を取り入れ、地球温暖化がもたらす具体的な影響を主なテーマとして研究されておられます。

    真鍋先生が今回地球科学分野から異例の受賞となったのは、地球温暖化は否定派から言われるような疑似科学などではなく、物理学の中に十分含まれることであるということを改めて示す目的があったのではないかと思われます。地球大気のわずか0.03%しか含まれていない二酸化炭素が0.06%になったところで、大して影響はないと考えるのが普通なところ、真鍋先生はそれを確かめようとコンピュータを使い検証する方法を開発した、まさにパイオニアです。なぜ真鍋先生が日本を捨てて、などという記事もありますが、なぜと言われても当時の日本にそのような研究環境がなかったのですから、選択の余地はなかったというのが本当のところでしょう。

    地球科学自体、日本の高等教育では脇に置かれることが多く(たとえば大学受験の科目として選択できないなどの理由で高校の履修科目に入らない場合がある)、地球科学やってますというとちょっとマイナーな雰囲気すら漂います。しかし、人間が根ざしている地球こそ、最も研究されて然るべきテーマではないでしょうか。災害の多い日本こそ、そうした研究をリードする立場でいてほしいと思うだけに、今回の受賞は大いに意義深いものであると考えています。地球科学の裾野が広がることを期待します。


  • NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト

    今回の「ディープな科学」は、ノーベル物理学賞に選ばれた真鍋淑郎氏の業績やその意義に迫ります。東京大学大気海洋研究所の渡部雅浩教授にわかりやすく解説していただきました。

    「鮮烈だった」と渡部教授が振り返る、四半世紀前の真鍋氏とのエピソードにもご注目を。

    記者会見で「好奇心が私の全ての研究の原動力だ」と語った真鍋氏。科学者の研究環境はどうあるべきかを考える上でも、示唆を与えてくれる言葉です。


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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    自然科学は、あらゆる現象を数量化して、数学の対象にすることでモデルや法則を見出すことができます。
     20世紀の自然科学の発展を可能にしたのは、コンピュータによる計算能力の画期的な増大でした。コンピュータは、それ自体はエレガントな解法を編み出す訳ではありませんが、とにかく力業で、数値を入れかえて繰り返し大量の計算をこなすことでは、圧倒的な早さです。ブラックホールの生成も、材料の耐久性も、膨大なパターンの計算をあっという間にこなします。
     米国がマンハッタン計画で原子爆弾の開発にいち早く成功した一因が、コンピュータ開発において世界にさきがけていたからです。爆発もミサイルの弾道も膨大なパターンの計算をいかに早くこなすかで、開発速度が左右されます。地球から発射したロケットが月まで到達するための計算などもそうです。
     米国の原爆、ミサイル、その他諸々のコンピュータを活用した研究の中心にいたのがユダヤ人の亡命科学者フォン・ノイマンでした。フォン・ノイマンは、国防省やCIA、IBMと組んで、膨大な予算を使って新たな研究分野を切り開いていきましたが、その拠点としたのがプリンストン大学でした。
     フォン・ノイマンは、多岐にわたる研究にコンピュータを活用させる斡旋をしましたが、その試みの一つが、気象の研究にコンピュータの計算を活用し、数理モデルをつくっていくことでした。
     真鍋氏が米国で研究を始めた1958年、フォン・ノイマンは原爆開発中の被爆が原因ですでに死亡していましたが、IBMコンピュータを活用した研究環境はすでに整備されていました。これは、当時の日本ではできない研究でした。真鍋氏は、気象研究の数理モデルを追究する論文を発表していたため、米国でのキャリアが開けました。
     世界的に圧倒的に優位であった米国の研究環境を生かして、真鍋氏の主な研究成果は1960年代に発表され続け、気象研究における数理モデル確立のさきがけとなりました。


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