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普通にいくつかの投資信託を買えば良いのでは・・・。
本質的に重要なことは、「ファンド」のような剥き出しの金融投資活動については、政治や公的当局がその関与の距離をしっかりと取る(関与し過ぎない)ことだと思います。
なお、ファンドを預かるJSTの体制未整備のため、2021年度財政投融資計画で計上された4兆円は、まだ執行されていない。
優秀な資産運用の人材を集めるのが難しいというのは、2010年代の官民ファンドでも同じ問題に直面しており、その教訓が何も活かされていない。
そもそも、3000億円(消費税収に換算すれば税率約0.1%)の運用益を得ることありきのスキームで、これを3%の運用利回りで回そうとすると、10兆円のファンドが必要で、それを国債増発で賄う、という安直な設計だ。なぜ、2000億円ではダメなのか。無理に高めの運用利回りを設定すると、JSTの不備なガバナンス構造の下での資産運用にしわ寄せが及ぶ。
消費税率を0.1%上げれば得られる資金を、税率を上げるのにおびえつつ、高めの運用利回りを借りたお金で回そうとする蛮勇があるとは、何とも皮肉なことである。
ハーバードの2021年の前年からの運用益は+34%で、合計530億ドル(リターンの中身は、ポートフォリオの3分の1を占めるプライベートエクイティー(未公開株)のリターンが77%、株式で50%、ヘッジファンドは16%)
ちなみに、イェール大学は、運用益+40%で、合計420億ドル、ブラウン+52%、ダートマス+47%、コーネル+42%、ペンシルバニア+41%だそうです。(10月14日Bloomberg)
2002年に卒業したハーバード公衆衛生大学院からは、19年間欠かさず、毎月、郵送で、大学院の多岐にわたる活動を記した冊子が送られてきて、さりげなく「寄附のお願い」の紙が入っています。そして、たとえ少額であっても、寄附をした者の氏名が、冊子の巻末に記載されます。そうか、こうやって、世界中の卒業生にアプローチを続けて、寄附を集めているんだなと実感します。
(ちなみに、超高額の寄付をする方も多く、2014年には、3.5億ドルの寄付をした方の名を冠して、大学院の名称が変更されました。Harvard School of Public Health → Harvard T.H. Chan School of Public Health )
日本の国立・私立大学も、寄附による自前ファンドの創設・拡張を進めていますが、なかなかうまくいっていないようです。
寄附に関する我が国の税制、寄附についての考え方や文化、こうしたことを抜本的に変えていかなければ、こうした基金に基づく、大学の自由闊達な研究の促進の実現は難しいと思います。
ノーベル賞受賞者の方々が口を揃えておっしゃる、日本の研究費の削減や研究者の不十分なサポートシステムが日本の未来に何をもたらすかを考えると、暗澹たる気持ちになります。
「報酬水準が国際的な水準を大きく下回っていること」ばかりが原因じゃないような気がしないでもないですが、どうなんでしょう。多くのファンドマネジャーが報酬の魅力で後先考えず手を上げる金額にすれば人員数の問題は解決するのでしょうが、日本の研究開発の未来をそうした人たちの手に託して良いものか。
「岸田文雄新首相の明確な支持を得ている」とのことですが、税金を使うことを表面的に回避するため大学ファンドを作るのは、いまだになんだか釈然としないんです。優秀な大学と研究者に十分な資金を渡して活性化するのは極めて重要なことですが、それは、恒久的な予算をとって安定的に行うのが筋でしょう。研究開発は継続的に行うべきもので、資金が切れて中断したら、復活しても効果が格段に落ちてしまいますからね。財政赤字の拡大なり増税の必要性なりを怖れてその責任を回避して、国民受けする弥縫策を講じているように思えてなりません(・・;ウーン
同じ理屈で、上場企業の指名委員会・報酬委員会に上記属性のメンバーが入っている場合は要注意。
金融とは、金を融通することと書きます。
金のあることから、金のないところに流すことですが、制約条件として金のないところを金のあるところに変える金の使い方であるということがあります。
この制約条件が難しい。
米国のVCの教科書には、市場の大きさ、それを寡占できるチームなのかがもっとも重視されると書いてあります。一にも二にも市場規模です。
なぜなら、9割失敗して一切返ってこなかったとしても、1割が100倍のリターンを出せば、ファンドリターンは10倍だから、どれだけデカい会社になりえるかの一点張りでふることが正義だからです。足下何やってるかはほとんど関係がありません。
今回年3%のリターンってことですから、
10兆円のうち1兆円を100倍のリターン目指すようなスタートアップに投資したとして、4%、わずか400億円の投資が100倍になるとするなら、他の9兆円で損を出さない運用にしさえすれば、10年のリターンが結果として毎年3%になります。
こういう発想する日本人がいないことはないのですが、発想してかつ資金も集められる人がいません。資金の出し手がこの発想ないので、必然とファンドの運用方針がリスク回避的になります。
リスクとは損することではなく、むしろ大きく稼ぐ可能性のことです。
リスク=リターンと言っても過言ではないです。
こういうことを理解する社会的な風潮からですかね。
スタートアップ投資に2000億円を注入する産業革新投資機構(JIC)も結局、採用には失敗しました。
報酬だけの問題とは思いませんが、もっと任せられないと、いい投資はできません。
国民への報告義務も大事ですが、それ以上に大事なのは結果です。「国民への報告は私が責任持つので、君は自分が正しいと思う投資をしなさい!(そして、結果は残せよ)」と言える、それを運用面でも実現できるトップが現れてほしいですね。
まぁ、3%のハードルはけして高くはないので、低リスクめの無難なポートフォリオ運用が落ち着きどころでしょう。
学問の独立を標榜するのであれば、なるべく資金も大学が独自で集めたいものです。
寄付金集めについては、私が在学中の頃から東大も注力するようになったものの、彼我では規模感に大きな差があります。
文化的な背景の違いもあるとは言え、大きな差の要因は寮の有無だという話を聞いて、非常に納得したことがあります。
スタンフォードやハーバードでは学生が寝食を共にすることで絆を深めますし、大学側も学生間の交流が進むことを狙って寮の機能をデザインするそうです。またそうすることで、愛校心を醸成していると。
そう思うと、寄付金集めの活動は、入学時点から始まっているということですね。それほどまでに大学側が寄付金集めを重要なアジェンダと捉えるかどうかの問題だと思えます。
GDP世界第3位の首相肝煎りのファンドと同じ規模なのですから、孫さんは凄いです。
逆に言えば大学ファンドはもっと大きくても良いと思います。
日本の大学の評価が世界でどんどん落ちています。
このままでは日本が世界から見向きもされなくなってしまいます。
少子化が進む日本は世界から優秀な人材を集める必要があります。
これを機会にテコ入れしてほしいです。
ノーベル賞を受賞する人がみんなアメリカに行ってしまうのは使える予算が違うからだと思います。