【論考】米国撤退後のアフガニスタン、未来はあるのか
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米軍駐留中のアフガニスタンでは、国家予算の8割以上が外国からの援助に依存していました。米国が手を引いたことで、国家予算が無くなるだけではなく、近代的な経済が成り立つ条件はほとんど失われます。貨幣が価値を失い、貨幣経済が維持できるかどうかも疑わしいです。
貿易も大幅に減少し、電気やガソリンも無くなり、流通も生産も確実に縮小します。2001年から倍増して4千万人になった人口が、全員食べていくのは、物理的に不可能です。アフガニスタンは、世界で最も悲惨な国とはいえませんが、半年後には最も悲惨な国の1つになっている可能性は十分にあります。
2021年8月から2か月で、すでに50万人以上が国内避難民になっています。餓死者はすでに出ていて、問題はこれからの冬で餓死者と凍死者がどこまで増えるか、です。
国内にいても死を待つだけであれば、国外に逃れざるをえません。国外へ脱出できるだけの財産がある人間はすでに脱出しています。
8月下旬、カブール国際空港に殺到した国外脱出希望者の混乱が世界中のメディアで報道されましたが、あれは飛行機で脱出できるごく一部の恵まれた人たちです。あそこで起きたイスラーム国の自爆のようなことも、今は各地で頻発しています。ターリバーンとイスラーム国の死闘は、本格化しだしたばかりです。
広く難民についていえることですが、欧米までたどり着けるのは、最も金と体力がある人たちです。次に余裕がある人たちは、陸路で隣国を目指します。最も弱い人たち、高齢者や障害者、母子家庭などは、移動できずに最も早く死にます。
アフガニスタン人の難民化が本格するのはこれからです。陸路でパキスタンやイランに向かいますが、入ってこられても困るので、防壁を造り、軍が警備して国境を越えられないようにしています。しかし、密入国業者がいて、金があれば国境は越えられます。本当に死ぬしかないなら、国境沿いで暴動を起こしてでも国境を越えてくるでしょう。
米国やヨーロッパ諸国が、餓死や凍死を減らすことができるような巨大なプロジェクトに本気で取り組む可能性は低いですが、仮に取り組んでも間に合わないでしょう。物資を空輸しても、ガソリンが無いから輸送ができないので、地方には行き渡りません。
近隣諸国にとって、アフガニスタン人の難民化は、次の戦乱を確実に準備することになるので、死活的に切実です。米国は、日本の占領政策がうまくいったのは自分たちの手腕だと勘違いし、それを世界各国で推し進めては幾度となく失敗している。
日本の戦後の成長は、天災と共に生きるがゆえスクラップ&ビルドに強いその歴史と、変化に対応し続けた勤勉さに他ならない。