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国内大手自動車メーカー。創業は二輪車でアジア太平洋を中心に世界トップシェア。ヒューマノイドロボットASIMOやホンダジェットなどの航空機も手掛ける。2040年までに脱エンジンを目指す。
時価総額
10.0 兆円
業績
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日本は良くも悪くもトヨタ自動車がクルマ社会の中心にあり、国もそれをヨシとしてきました。だからハイブリッド車から先に進めない。
モーター車にシフトした欧州メーカーと政府の腹の中はともかく、流れはもはや止められません。日本も急速充電インフラ整備にお金をかけ、マザー市場でのモーター車普及を進めないと、世界での競争に遅れを取ってしまいます。
トヨタと一緒に生きるか、自分たちの道を歩むのか、モーター車に対する対応が図らずも踏み絵のようになってきました。
ということで、人体に有害なNOxなどの排気ガスと同時に人体には無害でも温室ガスの一つであるCO2を厳しく削減するZEV政策を打ち出しました(ZEVのZはZEROを意味)。ということで、ホンダは21世紀のマスキーで世界を変えたいと考えているのだと思います。三部CEOはエンジン屋さんなので、そこにこだわっていることは明々白々。また、四輪だけではなく、ロボット・汎用・二輪・航空機などを考えると、ホンダのカーボンニュートラルはバッテリー、モーター、ジェットエンジン(燃焼)などの技術をいかに応用するかがチャレンジだと思います。
ホンダの考えをトヨタと対比してはいけないと思います。目指す山頂は同じでも、登山道が違いすぎるのです。
きっと四輪事業が好転すれば、カーボンニュートラルな燃料を使って、F1を復帰するでしょう。F1を始めたのは伊東前前社長、やめたのは八郷前社長。三部CEOはF1に関しては白紙ですが、選択肢はF1復帰しかないでしょうね。
ここまで、欧米や中国のメーカーはいち早くEVにかじを切っているのに対し、日本はトヨタを中心にハイブリッド車を活用しつつ脱炭素を実現すると表明しています。海外のメディアなどからは「エンジンの延命」などと批判もされています。
そんな中、日本のメーカーで唯一、ホンダが「脱エンジン」を表明しました。しかも、それをぶち上げたのはエンジン一筋の技術畑出身である三部敏宏新社長です。
最大の武器であるエンジンを捨てるという決断は、果たしてうまくいくのか。三部社長のインタビューの模様をお届けします。アップルとの提携についても踏み込んだ発言をしています。ぜひご覧ください。
「ちょっと自慢してもいいですか?(笑)
今の、自動車会社の経営トップで感覚的にそうした見通しの精度が一番高いのは僕だと思います。」
ホンダのコーポレートタグラインであるThe Power of Dreamsは大好きな言葉です。何かやってくれそう、やってほしいなと思います。
「予測可能な社会」とは未来は不確実だから予測できない、確かに日々の生活を正確に予測することは難しい。ただ、大きなトレンドはかなりの精度で予測可能だと私は思っています。だからこそ「未来志向」が極めて重要になるし、より未来の話をより広い視点でより具体的に掲げられる企業がより長期的な競争力を有していくと考えています。
「経営者の技術に対する知見と興味」ですが、私は理系ですから技術の興味はありますが、必ずしも理系である必要まではないかもしれません。ただ、日々学び将来を予想しようというモチベーションと好奇心を持った人でなければ、これからの経営者は務まらないように思います。そうでなければ、ボトムアップの調整型でしか価値が創出できません。
「社会課題解決のミッションドリブン」は日本企業の経営者が最も苦手としてきた分野です。だからこそ、私は著書「サステナブル資本主義」でもその点を強調しています。ホンダは後発になったことを認めているのは潔いと思いますが、まだまだ社会全体のグランドデザインは見えてきていますが、実現までは至っていません。岸田政権とも連携しながら、エネルギーインフラ全体としての日本の型をぜひ早期に作って欲しいと願っています。
単純な車作りだけでは、競争力につながらないでしょう。サービスを含めたインフラ全体の設計にこそ、大きな付加価値が宿ることは間違い無いのですから。
日本を代表とする老舗大企業が会社の看板であるエンジンから脱するという方針を出すのは、とてつもなく重要な決断であり、決断力の高さを、そして世界の動向に合わせて社の方針を変革できる柔軟性を感じます。
テスラのイーロン・マスクがより良い新たな社会を作る構想を、ウーブンシティ開発を行なっているトヨタは、最新の技術・テクノロジーを駆使した新しい暮らし方の構想を掲げている中、ホンダは脱エンジン後をどのように変わるのか。気になるのは最新のテクノロジーを搭載した車の開発した後のこと。開発した車を用いて、何を作りたいのか。テスラやトヨタの考える壮大なビジョンのように、三部さん率いるホンダの未来構想がどのようなものなのか、期待を持ってしまう時点で策にハマってますね。
一方で、正直なところ、少し懸念も感じるインタビューだった。あえて技術系・文系と分ける必要もないし、自分をアピールする必要もないと思う。
そこは個人的な好き嫌いもあると思うが、ずっと経営トップで結果が出ている場合ならともかく、就いてすぐにすべきか。
言外に、ものすごく豊田社長を意識されているように感じる。そのなかで、先日のトヨタの説明会では「Sustainable & Practical」がメッセージで、個人的には特にPracticalにトヨタの思いが詰まっているように感じている(下記)。
トヨタは、他社がHVを信じていない時代から原理原則を信じて最も燃費が良いソリューションを開発してきたと自分は思っている。自動車産業は原罪的に二酸化炭素を排出する中でずっとそれに向き合ってきたように捉えている(自分が過大評価をしている可能性ももちろんある)。そのなかでホンダの方針がPracticalityも含めてより未来につながっていると考えられての決断だと思うので、そこをもっと知りたかった。
Practicalityも色々あり、トヨタは科学的な原理原則のPracticalityで考えているように思い、欧州各社は政治的なPracticalityでルールメイキングもしながら考えているように感じる。
どちらもPracticalityだし両方必要。ホンダはその重心をどこに取りに行くリスクテイクの決断か!?
https://newspicks.com/news/6174929
そして、「脱炭素ネットゼロ宣言」に対する意識は、日本より欧米の方が非常に高い印象を受けます。様々な企業が「ネットゼロ宣言」の具体的な目標を掲げています。
テスラのように社会へのビジョンがあり、企業の方向性と社会への想いが繋がっているパーパスドリブンな企業が、これからはますます求められていくと感じます。激変する車業界のこれからの大改革が楽しみです。