2021/10/10

【イタリア発】再燃するオーバーツーリズム撲滅の「秘策」

INDEX
  • 観光都市ベネチアに訪れた「静寂」
  • 観光客から「入域料」を徴収
  • 「博物館」と化すベネチアの街
  • 監視カメラで観光客の動向を把握
  • ピーク時の入域料は「10ユーロ」
  • 観光客の活動を「誘導」する
  • 厳格すぎる対策は「情緒」を奪う
  • ターゲットは「日帰り観光客」

観光都市ベネチアに訪れた「静寂」

新型コロナウイルスのパンデミックで観光客の姿が消えてから、イタリア・ベネチアの住民たちは、これまでとは違うベネチアを夢見ることができるようになった──石窯ピザや石畳の路地に群がるのに飽き足らず、一般市民が暮らすアパートにまで部外者が押し寄せてくる「観光客のための街」ではなく、「自分たちのための街」だ。
以前よりも静かになったベネチアの街では、100ある鐘楼の鐘の音や運河の水が打ち寄せる音、そして住民が話すベネチアなまりのイタリア語がBGMとなった。
毎日何千人もの日帰り観光客を連れてきては、波を引き起こして沈みかけているベネチアの歴史的建造物にさらなる害を及ぼしていたクルーズ船は姿を消し、ついには乗り入れが禁止された。
しかし今、現市長はテクノロジーを活用して、さらに厳しい人流管理を行おうとしている。これには長年「ベネチア市民のためのベネチアを」と訴えてきた人々の多くも懸念を抱いている。
まだ人の少ないサンマルコ広場。ここが再び観光客でごった返す前に、市当局は手を打とうとしている(Alessandro Grassani/The New York Times)

観光客から「入域料」を徴収