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眞鍋先生は、1953年に東京大学理学部を卒業した後、数物系研究科に進学、博士取得後に米国に渡られ、米国海洋大気庁・地球流体力学研究所にて気候変動の研究に従事してこられました。その間、世界で初めて大気海洋結合大循環モデルを開発し、二酸化炭素の濃度の上昇が気候に与える影響を世界に先駆けて明らかにするなど、地球温暖化研究や気候研究の根幹をなす研究成果を数多くあげてこられました。
眞鍋先生の栄誉を心からお祝い申し上げます。
実は真鍋先生は、自分が地球科学を志すきっかけとなったNHKの地球大紀行という番組でも取材されており、元号が昭和のうちからすでにプリンストン大学で温暖化についての研究を行われていました。当時のコンピューターでも、温暖化は地球全体で均一に進むのではなく高緯度地方が特に温暖化しやすいこと、それによって気候も変化して降水量が増える地域や減る地域があること、特に世界の穀倉地帯で降水量が減る見込みであり将来食料問題につながりかねないことなどが示されていました。30年以上経った今になってそれらは最先端の研究から、地球に住まう人々の共通理解にまで進化しました。
ノーベル賞は、社会的に影響の大きな研究、人類にとって大きな進歩をもたらしたと認められた研究に対して授与されるものとされていますが、まさに地球温暖化に対して本格的に対策を打たなければならなくなった昨今において、人類にとって大きな示唆を与えてくれている研究ではないかと思います。地球科学の一分野である気象学に片足を突っ込んでいる人間として、今回の受賞は大いに勇気を与えてくれるものとなりました。この度は受賞誠におめでとうございます。
気候変動分野の研究が受賞したことが嬉しいですし、既に米国籍とはいえ、日本生まれの方だったことでさらに親しみがわきますね。
日本は気候変動で存在感薄いと言われるのですが、例えば、日本の衛星技術は森林が吸収するCO2量の測定などに大変存在感を持ってます。
気候変動交渉で存在感あるのは、中国米国インドなど大排出国ですが、技術や研究では存在感ない、と言ってしまうのは惜しい。国内で、知られてないことも結構あるんです。
【追記】大場さんのコメント推奨です。
私も、モヤモヤも実は少しあって。
一つは、日本はこれを誇りに思っている場合ではなく、わが国の学術研究支援のあり方、そして国籍法にも問題はないのかを見直す機会にすべきではないかと思うこと、もう一つは、大場さんがコメントしておられることです。
本当におめでたいことなので水を差すことは控えたいのですが、確かに物理学賞?という違和感はあります。
ノーベル賞だけでなく、いろいろな研究費なども、欧州の価値観が「これが大事」と思うと、そこに向くような世の中になっているという構図を、気候変動をやっていると顕著に感じるんですよね。パリ協定が掲げた2℃目標も、2度という数字が欧州の政治家から出てきてサミットあたりで使われだして。そうなると、2℃を前提とした研究にお金がつきやすくなる。それで徐々に「科学も2度だと言っている」になっていきました。欧州の価値観がいかに世界に拡大・支配していくかを感じさせる事例ではあります。
まぁノーベル賞も平和賞は話にならないし、大場さんの仰る通り、「ノーベル賞の役割は終わった」ということかもしれないと思います
ノーベル賞はけっこう分野の偏りがあって、近年の物理学賞はだいたい毎年、素粒子、物性、宇宙論とかでした。基礎中の基礎科学が対象というイメージがありました。ノーベル賞がさらに多様な分野を対象にするようになったことは特筆すべきでしょう。もちろん、社会的インパクトも考慮してのことだと思います。
ところで
> 日本人がノーベル賞を受賞するのはアメリカ国籍を取得した人を含めて28人目
日本の国籍法では、自分の意志で外国籍を取得したら日本国籍は自動喪失することになっています。もう一度言います、自動喪失、です。従ってマナベさんはおそらく国籍上の日本人ではなく、日本生まれのアメリカ人でしょう。
二重国籍を認める法改正を早くして欲しいと思うばかり。今度こそ議論が進むきっかけになれば、、、
追記 あ、でも1984以前の旧国籍法ではどうやら二重国籍OKだったらしいので、その可能性もありますね。しかしそのような二重国籍者は、自動喪失はしませんが国籍の選択をしなくてはいけないことになっているはず。もし仮に真鍋さんがそのような状態だったら(←相当数いる)、日本は国籍選択をいまさら迫るのでしょうか、、、?(有名人でなければ、こっそり二重国籍のままでも何もお咎めはありませんから。ノーベル賞とかで急に有名人になったら困るパターンが、あります。)
しかし二重国籍を禁止するメリットはいったい何があるんだろう、、、?デメリットならばたくさん思いつくけど。。。
何はともあれ、マナベさん、おめでとうございます!!!!
> 一方、ノーベル賞の6つの部門のうち経済学賞だけは、日本人の受賞者はいません。
たぶん小島ふひとさんがとってくれるので大丈夫です、授賞式呼んでくださいね〜笑
詳細は覚えていないのですが、大学院修士課程の頃に当時の指導教官からのサジェスチョンでManabe et al.の論文を参照したことがあったのを思い出しました。受賞おめでとうございます。
【※】https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2021/press-release/
>引用
『これまでノーベル物理学賞は、▽天文学と宇宙物理学や▽原子や分子、それに▽物質を構成する素粒子物理など、大きく3つの分野から選ばれてきましたが、気象や気候の研究分野を対象とするのは初めてです。』
試しに日本物理学会の秋季大会のプログラムで検索してみたが、気候モデルを扱った発表は一つもなかった。物理学会で扱われていないテーマが物理学賞って一体なんなんだ。
むしろ、シミュレーション科学は、既存の物理学、ひいては理論と実験がベースの自然科学の価値観や哲学から最も離れた存在で、その中でも気候モデルは原理的に実験で実証できないものを科学的研究の価値として認めてしまうため、全く目指す価値の種類が異なる。(ちなみに数学は自然科学ではなく形式科学で、ノーベル賞の対象ではない)
百歩譲って、気候シミュレーションモデルを(自然)科学の一種としてノーベル賞で扱うならば、本来なら別部門を創設すべきだろう。シミュレーション科学賞とか。せめてノーベル化学賞、あるいはせいぜいノーベル平和賞か。
前からコメントしてますが、私の中で選抜の規律が崩壊したノーベル賞に対する憧れや権威はもう消えてしまいました。
今後はgoogleが作ったブレークスルー賞がノーベル賞の代わりに21世紀のアカデミアをけん引して行くことでしょう。ノーベル賞の歴史的役割は終わったのかも知れません。120年前のカテゴリーのまま変わらず来てしまいましたからね。
追記
なぜか眞鍋氏と一緒に受賞した、パリージのスピングラスにおけるレプリカ対称性の破れの研究は(むしろ私の専門分野なのでこっち解説したいくらい)、統計力学の重要な成果で、まさにストレートに物理学賞に値する。「複雑系」という接点のみで、気候変動に絡めて無理矢理まとめてしまった感。
真鍋さんの喜びの声です。
https://youtu.be/DRZQcEUyv70
真鍋さんは、地球温暖化研究の先駆的存在で、1950年代末からアメリカにわたり、コンピュータを用いて気候の変動を分析する研究分野を開拓しました。その後、二酸化炭素濃度の上昇が大気や海洋に及ぼす影響を世界に先駆けて研究し、現代の地球温暖化予測の枠組みを築きました。
真鍋さんは1958年に東京大学大学院を修了後、アメリカ海洋大気庁(当時:気象局)の研究員となりました。1997年に帰国し、当時の科学技術庁の温暖化研究チームに着任、2001年からは再びアメリカにわたり、現在はニュージャージー州にあるプリンストン大学上席研究員をつとめています。
脱炭素政策でヨーロッパに遅れをとっている日本に立派な先駆者がいたことに誇りを持ちたい。
【追記】それにしてもwikiの記述が少ない(ノーベル賞の報道で今晩から急に増えるだろうが)。世界で活躍しているのに日本ではあまり話題になることがなかった、ガラパゴス島ではありがちなことだ。
【追記2】BBCニュースでは、特に日本人と言わずにプリンストン大学在籍というような表現ですね。だから世界の人たちは日本人受賞とは思わないかもしれない。
受賞はめでたいが、日本の研究環境が充分でなかったから米国籍を選んだのだろうね。日本の今後が心配になります。