[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は5日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.10%に据え置いた。住宅市場の過熱に対する懸念が高まっているが、中銀は長期間にわたり低金利を維持する意向を示唆した。

ロイター調査では、アナリスト36人全員が金利据え置きを予想していた。

債券買い入れの規模も週40億豪ドル(29億2000万米ドル)で据え置いた。

シドニー、メルボルン、キャンベラで新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)が敷かれる中、第3・四半期は景気縮小が必至とみられており、景気支援継続の必要性が浮き彫りになっている。

ただ、ワクチン接種率の上昇に伴い行動制限が近く緩和されることから、中銀は速いペースでの景気回復を期待している。

ロウ総裁は声明で「ワクチン接種率がさらに上昇し、制限が緩和されるに伴い、経済の持ち直しが見込まれる」と指摘。「中銀の連絡先企業や求人データは、10月、11月の(経済)再開を前に多くの企業が採用を模索していることを示唆している」と述べた。

一方、数年にわたり低金利が維持されるとの見通しは住宅価格の高騰を招いており、住宅購入能力や家計債務を巡る懸念につながっている。

中銀は、経済全般に悪影響が及ぶとして住宅市場の抑制に政策金利を用いることに否定的な立場で、マクロプルーデンス規則の方が適した手段だとしている。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のエコノミスト、タパス・ストリックランド氏は「信用の伸びが家計所得の伸びを引き続き大幅に上回った場合の経済への中期的リスクについて、規制当局は懸念し始めている」と指摘。マクロプルーデンス政策が強化された場合、住宅価格の上昇に影響が波及する公算が大きいと述べた。

CBAのシニアエコノミスト、クリスティーナ・クリフトン氏は「住宅市場が注目されているのは間違いない。住宅価格の上昇率は依然として非常に高く、新規融資は初回の住宅購入者から投資家にシフトしている」と指摘。

「今年終盤から来年初めにかけて、マクロプルーデンス政策が再導入されるだろう。金融政策は、来年2月まで大きな動きはない可能性が高い。2月には債券買い入れが一段と縮小される見通しだ」と述べた。