[サンフランシスコ 4日 ロイター] - 米自動車大手、フォード・モーターのバッテリー合弁事業パートナーである韓国のSKイノベーションは、米自動車業界が2025年までバッテリーの供給不足に直面するとの見通しを示した。生産施設を建設して生産を開始するのに長い時間を要することが理由という。

SKイノベーションのキム・ジュン最高経営責任者(CEO)と同社から分社化されたバッテリー会社SKオンのジ・ドンソブCEOが、ロイターに語った。

キム氏は「現在の米国の電池生産能力は、需要を満たすにはかなり不足している。需要に見合う工場の建設には30カ月のリードタイムが必要で、少なくとも2025年までは電池不足が続くとみている」と述べ、工場の建設地選びや建設作業、製品の試験など、電池セルを米国内で供給するまでに要する時間に言及した。

一方、中国では電池の供給過剰が見込まれ、欧州では需要に見合った供給が予想されるとした。

フォードとSKオンはそれぞれ44億5000万ドルを投資して米国に3つの新工場を建設する計画で、25年の生産開始を予定している。

SKは、米国で最大規模となるこれらの工場建設計画により、2700万台分に相当する1600ギガワット時の受注残を持つことになるとしている。

SKはまた、低価格車など特定の用途向けにリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)を開発することを検討しているという。

SKオンのジ氏は「自動車メーカーからLFP技術への関心が寄せられている」と語った。

LFPは走行可能距離が比較的短いものの、コスト面や熱安定性において優位性がある。

米電気自動車(EV)大手テスラが採用し、中国の電池メーカーの主力技術となっているが、フォードなども同技術への多角化を進めている。