[1日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げの基準として設定しているインフレ目標の達成が近付いているかもしれないが、実際の利上げが可能になる雇用の目標が達成されるまでには1年以上かかる可能性があると述べた。

9月30日に行ったロイターとのインタビューで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響により今年はインフレ率が高進したが、今後2─3年でFRBの目標である2%に近付いていくと指摘。「今後2─3カ月の動向を見守るが、インフレ率はわれわれの目標達成にかなり近付いている、またはすでに目標を達成していると思う」とした。

また、経済が予想通り改善し続ければ、早ければ2023年にFRBが物価安定と最大雇用という2つの責務を果たす時点に達する可能性があると想定。「その時点では米経済はフェデラル・ファンド(FF)金利の多少の上昇を許容できるほど健全になっているはずだ」とし、低金利は金融安定へのリスクを高めるだけでなく、金利収入を得ている人々に悪影響を与えかねないとした。

一方で、FRBがすぐに緩和策を解除することはないと強調し、テーパリング(量的緩和の縮小)を開始しても、月額1200億ドルの債券買い入れペースが減速するだけで、緩和状態は維持されるとした。

ハーカー氏は米失業率が22年末に約4%、23年末に3.8%、24年末には3.6%に改善すると予想している。

インフレ率がFRBの目標を引き続き上回って推移する可能性については、特に供給面での混乱が解消されるまでに数年かかる場合において「監視しておくべきリスク」とし、FRBが資産買い入れを近く漸減させることで、このようなインフレ率に対応するための「選択権」を来年拡大させることができると語った。

FRBの倫理規定見直しについては「タイムリーかつ適切」と評価した。