2021/10/4

米IT大手が不動産買いあさり、コロナ禍で加速

米大手企業の手元資金が記録的な水準に積み上がっている。ただ保有していてもリターンはほぼ皆無で、使い道も尽きつつある。
そこで目をつけたのが商業用不動産だ。
先週には、アルファベット傘下のグーグルがニューヨーク市マンハッタンのオフィスビルを21億ドル(約2300億円)で購入すると発表するなど、新型コロナウイルス禍が始まって以降、大手企業による巨額の不動産購入が相次いでいる。
アマゾン・ドット・コムは昨年、老舗百貨店ロード・アンド・テーラーの旗艦店があったマンハッタンビルを9億7800万ドルで購入。フェイスブックもワシントン州ベルビューのオフィス施設を3億6800万ドルで取得した。
アマゾンは老舗百貨店ロード・アンド・テーラーの旗艦店があったマンハッタンの建物を取得(写真:DAN LYON/THE WALL STREET JOURNAL)
S&Pグローバル・マーケット・イテリジェンスによると、米上場企業は合計で1兆6400億ドル相当の土地・建物を保有している。10年前からは38%増えており、少なくとも過去10年では最高水準となっている。
ウォルマートなど小売りやマクドナルドといったレストランチェーンはかねて自社店舗を保有する大口不動産所有者だ。
最近ではここにハイテク大手が仲間入りしており、オフィスやデータセンター、倉庫に加え、小売店舗スペースまでも相次ぎ買い上げている。