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【以下引用】
ただ、こうして生きてきてみるとわかるのだが、めったにはない、何十年に一回くらいしかないかもしれないが、「生きていてよかった」と思う夜がある。一度でもそういうことがあれば、その思いだけがあれば、あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。だから「あいつも生きてりゃよかったのに」と思う。生きていて、バカをやって、アル中になって、醜く老いていって、それでも「まんざらでもない」瞬間を額に入れてときどき眺めたりして、そうやって生きていればよかったのに、と思う。あんまりあわてるから損をするんだ、わかったか、とそう思うのだ。
( 中島らも『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』集英社、1994年)
【以上引用】
良いことはすぐに忘れて、嫌なことはあとまで残る。これ、納得です。
苦がデフォルトだからこそ、相対的に楽しいことによる感動や感激が大きくなる。
そう考えれば、苦も悪くない。ただ自分の人生を面白がる。豊かで納得できる人生にするコツの1つですよ。
「私、こんなに悲惨だし、周りの人立ちに顔向けできない」
と嘆く相談者がたくさんいました。
「そうかもしれません。でも、あなたより前の相談者の方々はもっと悲惨な状況でした。街中ですれ違う人たちも平然とした顔でいるけど、たくさんの悩みを抱えているのです。現に、市役所の入り口ですれ違った人たちの様子はそれほど悲壮なものではなかったでしょう」
よく私はこのようにして「あなたが最悪なのではない」と諭したものです。
妻をなくしてコロナ禍で外食にも行けず、自分自身を悲惨な状況だと思うことが頻繁にありますが、自分が相談者に言った言葉を思い出しています。
街中で楽しそうな表情を見せている人たちでも、私よりも悲惨な人たちがたくさんいるんだと…。
子供達を見ていると、その日の辛かったことを、楽しかったことが上書きしていて、記憶が全て楽しい状態で一日を終えているように思います。
ある程度の鈍感力とともに、人からのポジティブなフィードバックや感謝の言葉、褒める文化の醸成によって、辛かった記憶もだいぶ上書きされたりしますから、デフォルトが苦の方だとしても、自分で自分をポジティブに持っていきたいですね。
ドン底を経験すると、本当に他人から見たらどうでもよいような些細なことにいちいち感動するし、感謝の気持ちが芽生えます。
素敵な人との出会いやご縁も到底当たり前とは思えず、すべてが奇蹟だと感じます。
感動、感謝の気持ちを自分の中で感じられる。これ以上に人生に楽しいこと、幸せなことはありません。
ポジティブ思考に執着するひとが鬱になりやすいのとは逆に。
私は本当にそうで、かなり意識しないと良いことは直ぐに忘れ、失敗したことや悔しかったことやコンプレックスや自分の中で未達のことばかりが頭の中を常に巡ります。ただ、それは悪いことばかりではないと思っており、負けず嫌いの性格と相まって、成長に繋がってきたとも思っています。
反面、うちの娘は良いことだけが記憶として残り、小さい頃から失敗したことや悔しかったことは直ぐに忘れてしまいます。だからいつも笑顔だし、機嫌がいい。ただ、親目線だと悔しさをバネにもっと努力してほしいとか思ってしまうんですよね。現状に満足しているようにも見えてしまう。
だた、最近は生きるだけでなかなかハードな世の中になってきていると個人的には思っているので、娘のようなタイプだからこそ乗り越えられることもあるように感じています。
なるほど。
このように科学的に説明されると納得ですね。
脳の原理が分かれば、苦しいことに向き合う時、「科学的に」自己調整できるかもしれません。
苦しいことがあるから、楽しいことがある。
同じ経験をしても、それを苦しいと感じる人もいれば、楽しいと感じる人もいる。
生まれてから死ぬまで、生きることは、ブッダの言うように苦しいことが多いかもしれないが、それは、個人の解釈しだい。
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません