塩野義製薬、鼻に噴霧するワクチン 22年度に治験入り
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鼻に噴霧するワクチンは、すでにインフルエンザでの使用経験があります。
ウイルスの侵入門戸の一つと考えられる鼻の粘膜にアプローチするので、筋肉注射を行う既存のワクチンに比較して、人のからだの門番を集中的にトレーニングでき、筋肉注射よりも感染予防の効果が高くなることが期待されています。
ただ、あくまでこれは机上の理屈であり、実際には臨床試験で確認する必要があります。抗体の量での予測も難しいところであり、既存のワクチンとの比較試験などで評価される必要があるでしょう。塩野義製薬以外でも、点鼻ワクチンや点鼻抗体薬の開発が検討されているとの報道を目にします。粘膜での免疫の主役であるIgAの産生経路は、特定の抗原に対してはリンパ節(T細胞)を介するものが主役のようですが、最近の研究では恒常的に産生されているIgAはT細胞を必要としない経路を介しても産生されているようだと報告されています(腸粘膜に関する研究)。
「腸粘膜を守る抗体の新たな産生の仕組みを解明-ワクチン開発や自己免疫疾患治療に新たな視点-」(科学技術振興機構(JST)2011年2月18日)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20110218/index.html
ワクチンは分子量が大きく粘膜からの吸収が難しいと思われるため、点鼻ワクチンの薬事承認には、効果の証明に加え鼻粘膜での局所免疫が働いていることの証明が必要になるでしょう。
点鼻の方が筋注よりも簡便に接種を受けられ、期待は大きいと思われます。まだまだ高いハードルが予想されますが、新しいチャレンジに期待しています。海外で1年前に経鼻ワクチンの臨床試験が開始されたという報道があったが、これはどうなっているのかな。
https://www.afpbb.com/articles/-/3304011?cx_amp=all&act=all
追記
ロイター通信(英語)が、Beijing Wantai Biological が10月より経鼻ワクチンの大規模臨床を開始すると報じている。
https://www.reuters.com/world/china/beijing-wantai-plans-large-trial-nasal-spray-covid-19-vaccine-candidate-2021-09-23/