【制作者談】沈む日本のリーダー像を、2021年の『日本沈没』はどう描いたか
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注目のコメント
日本が沈没しかかっている。
物理的な話ではなく、今の政治の汚れ方を見ていると、そんな風に思わざるを得ない。矜恃とか気概とか、理念とか信念とか、なんか大切な物がどんどん失われ、利権や権力や個人的思惑が優先されているように思えてならない。
1868年・明治維新
1945年・敗戦
今までの常識がひっくり返った時代には、それをなんとか乗り切ろうという人物が登場するものだ。1945−1868=77。1945+77=2022。77年経過すると、その時代の体験者はほぼひと回りすることになる。明治維新を知らない人間が第二次世界大戦を起こし、戦中を生き延びてない戦争を知らない世代が憲法改正を叫ぶ。
来年は、敗戦からひと回りした2022年。戦争経験者の方々がごくわずかになり、安倍晋三さんに代表される戦後生まれの一部の人たちが、勇ましいことをおっしゃる。
ヒーローが出てくる時は、出てこざるを得ない「悲惨な時代」になっている証でもある。なので、ヒーローが出てくる前に、なんとか食い止めたいと思うのだ。小松左京さんの日本沈没が刊行されたのが1973年。1970年に大阪万博があり、当時の「日本沈没」は世界に追いつこうと「元気な頃の沈没」でした。
今回の日本沈没は、日本経済自体が沈没しかけてる中で国土も沈没しちゃう話になります。更に言えば、ドラマ制作も韓国に負けて沈没してるので、まさにトリプル沈没です。SFには「もしも世の中がこうなったら?」と考える思弁的なフィクション(Speculative Fiction)としての楽しさがあります。最近はビジネスでもSFをミッションやプロトタイピングに使うようなことが出てきていておもしろい。半世紀前に書かれた小松左京さんの小説は「もしも日本が沈んだら?」という絶妙な問いかけをしたから、そのときどきの空気を取り込み、時代を超えてリメイクされて愛されてきたんだなぁと思いました。
10月10日に始まるドラマ『日本沈没ー希望のひとー』では、この原作を使って今の時代をどう描こうとしたのか。プロデューサーの東仲恵吾さんに聞いています。
今ある基盤が失われてしまうとしたら自分やまわりの人が何をするかを考えるもよし、ネタバレはありませんので、ドラマを見る前に読んでいただけるとうれしいです!