2021/9/27

【リクルート社長】僕たちがSaaSに本気を出す理由を語ろう

NewsPicks 金融ジャーナリスト
新型コロナウイルスの感染拡大で、アメリカのZoomやSlackだけでなく、日本のfreeeやマネーフォワードといったクラウドサービスも急成長を遂げた。
こうしたクラウド型のソフトウェアは、総称して「SaaS」と呼ばれる。「Software as a Service」の略称で、「サース」または「サーズ」と読む。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に出遅れる日本で「SaaS」の拡大余地はまだまだ大きく、日本のビジネス界で「SaaS」という言葉が、今やバズワードと化している。
本特集「SaaS狂騒曲」では、いま日本のビジネス界を席巻するSaaSの最新動向を取り上げていく。
特集1本目は、人材や販促分野で高いシェアを持つリクルートホールディングス
傘下の求人検索サービス「Indeed」の好調もあり、時価総額ではソフトバンクグループやKDDIを上回る国内企業5位に上り詰めた。
巨大企業リクルートのSaaS本格参入は、いよいよ大企業までがSaaSを意識し始めた代表的な事例となりそうだ。
この10年でグローバル化に成功したリクルートは、国内SaaS業界でも圧倒的な存在になれるのか。リクルートの国内事業を統括する北村吉弘社長(47)が同社のSaaS戦略をNewsPicksに余すところなく語った。
INDEX
  • 顧客を「フルタイム」で支援する
  • 子会社統合で「SaaS事業」に集中
  • Airシリーズを「全ての業界」に
  • バーティカルもホリゾンタルもやる
  • 社員の「評価と働き方」も変える
  • 誰でもビジネスを始められる世界へ

顧客を「フルタイム」で支援する

 まずリクルートの事業をコンパクトにおさらいする。

リクルートグループ全体のビジネスは、3本柱になっている。


①「メディア&ソリューション事業」
  →国内で販促や人材事業を行う
②「HRテクノロジー事業」
  →求人検索サービス「Indeed」が中心
③「人材派遣事業」

  →国内外で人材派遣を行う

 そして、リクルート は、①のメディア&ソリューション事業を強くしていくために早くからSaaSの活用を模索してきた。

 例えば、リクルートは、以前から美容室や飲食店の予約システムや教育アプリ「スタディサプリ」の学校向けサービスで、企業や教育機関の課題を解決している。

 また、営業網や知名度を武器に拡大している、リクルートのPOS(販売時点情報管理)レジアプリ「Airレジ」は、利用店舗数ですでに国内トップのシェアとなっている。

 リクルートは、以前から、企業・事業者のソリューションを提供してきた。つまり、もともとの事業自体にSaaS的な一面があり、すでに「国内SaaSの隠れた巨人」と言える存在だ。
──リクルートはなぜ今、SaaSを強化するのでしょうか?
北村 これまで僕らはメディアを通じたカスタマー(消費者)とクライアント(事業者)のマッチングを行ってきました。
ただ、それだけだとクライアントのお手伝いができるのは、人材採用のような集客のニーズがあるタイミングに限定されます。