仏サンローラン、毛皮使用終了へ
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「毛皮は土に還るからエコ」というのは毛皮業界団体がよく使う抗弁ですが、商業ファーの製造過程で添加された有害化学物質は自然分解しえないでしょうね。
あとは生産過程、たとえばミンクやフォックスを育てるのに大量のCO2を出すことも確実でしょう。
もちろん動物愛護の問題もある。日本では特に動物愛護が軽視されがちで、どこか副次的な扱いですが、欧州では人間と自然の関わりを考える哲学の重要なテーマです。
一方、代替物とされる人工ファーはマイクロプラスチックの問題があり、こちらも完全に肯定はできない。
そもそもファッション全体からしてみればファー問題はごく一側面。大量生産・大量廃棄のシステム自体を改善すること、そこで削ぎ落とされてきた環境への配慮を組み込み直していくことが、必要な課題です。ついにケリング傘下全体で毛皮不使用宣言。こうした流れがある一方、(人為的な無理をせずに使われる)毛皮はオーガニックな素材であり、孫の代まで受け継がれるうえ、最後は土に還るので環境にとっては優しい、という見方もある。極寒地に行けば毛皮は必須。いずれの考え方にも正当性がある。
動物虐待と裏腹になった虚飾のような毛皮はもうなくていいけれど、地球の自然なサイクルの中で使われるサステナブルな生活必需品としての毛皮は、存続していっていいと思う。ケリングは2022年フォールコレクション以降、グループのすべてのブランドでは毛皮を使用しないとのこと。2017年に同グループ代表ブランドのグッチが毛皮廃止宣言をして話題となってから、次々と他ブランドへ展開してきました。
ロイヤルファミリーやセレブが着ているファーはリアルファーか人工ファーか?と話題になったり、フェイクファーでも確証がないと非難を浴びたりするので、ブランドとしても大々的に宣言する必要がありますね。
影響力のあるブランドが毛皮を全廃する動きで、いまだに毛皮を使っているブランドは、取り残されて見えるようになってきました。
毛皮を使用しないとしても、ファッションの表現としてゴージャスな毛皮風な素材は捨てきれないもの。しかしフェイクファーの多くは化学繊維(プラスチック)製であり、化石資源を使用しているうえ、使用・洗濯時のマイクロファイバーの脱落も問題視されています。
ラグジュアリーブランドに人工ファーを供給するメーカーであるエコペルが再生ペットボトルを原料としたファーを発表しましたが、引き続いて生分解性のある人工ファー(例えばとうもろこし由来)の開発も行っています。
植物由来のファーやレザーはさまざまなスタートアップも挑戦しており、今後発展が期待できる分野ですね。