[フランクフルト 21日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は、最近のインフレは一時的との基本シナリオを変えていないが、インフレが予測を上回るリスクを認めるECB当局者が増えているようだ。

先月のインフレ率はECBの目標(2%)を大幅に上回る3%。インフレ率は11月までに3.5%に達する可能性があるが、ECBは、その後はインフレ率が急激に鈍化し、数年間にわたって2%を下回るとのシナリオを示している。

ただ、コモディティー価格の急騰、供給面の制約、人手不足などが、こうしたシナリオを揺るがす要因となっている。

ECBのデギンドス副総裁は、ECBの基本シナリオを維持するとした上で、上振れリスクを強調し、一時的な物価上昇が永続的なものになるリスクを「非常に警戒する」必要があると主張。

オンラインイベントで「欧州の一部の国は年金と公務員給与をインフレにスライドさせている」とした上で、「これは回避されるべきだ。なぜなら一時的なショックの発生にスライドさせれば、今回の一時的なインフレ率の上昇をさらに永続的なものに変質させかねない。それはわれわれが避けるべきことだ」と述べた。

副総裁は、コモディティー価格と供給制約が物価上昇の「二次的波及」効果を生み出すリスクがあると警告した。

ECB理事会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁も、実際のインフレ率がECBの予測を上回る可能性があると指摘。ただ、ECBが金融引き締めを迫られることはないとの見方を示した。

総裁はポリティコとのインタビューで「われわれはインフレについて上振れリスクがあることを認めている」とした上で「ただ、われわれは過去に、インフレ率が中期的に2%に向かうという過度に高い予測をした経緯がある」と述べた。