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背景を知ってなるほど、と思いました。日本食が誇るうま味成分とも密接に関わっていたことや、往年の研究者の生き生きとした仕事ぶりに触れ、ちょっと嬉しい気持ちになりました。
読んでいただくとわかるように、その原料は、特集の第1回のインフォグラフィクスで紹介した、「mRNAワクチンを生んだ2大ブレークスルー」の片方に関連しています。取材の過程でのもう一つの驚きは、なんともう片方のブレークスルーにも、同じ醤油メーカーが貢献していたと知ったことでした。
岡記者と私が感じた2つの驚きを、ぜひ、読者の皆さんと共有できたら嬉しいです。
「なぜ醤油メーカーが?」と疑問だったのですが、彼らが医薬品を手掛けるようになったきっかけは、日本食には欠かせない「うま味」の研究にありました。
個人的にとても印象に残ったのが、研究員だった國中さんの記録。「強烈なうま味が口の中で爆発」「比べものにならぬほどの濃厚な味わい!」など、グルメ漫画を読んでいる気分になりました。
こうした研究のおかげで、我々が打ったワクチンが実現したと思うと、本当に頭の下がる思いです。
ヤマサが新たにGMP対応の原薬製造棟を建設する話は3月くらいに化学工業日報で取り上げられていました。
ヤマサ醤油、核酸医薬受託の新工場建設、原料合成から一貫
https://newspicks.com/news/5670558/
近所なもので、地元周辺でもっと話題になってるかと思ったら誰も興味示してくれなくて寂しかったので、NewsPicksで取り上げられて何やら嬉しい笑
新棟はシュードウリジンに限らず下記のように中分子を含む核酸医薬を製造するための大規模設備です。核酸系医薬の商用化において開発力・生産能力ともに重要な役割を担ってくれそうで大いに期待しております。
・新原薬製造棟は本社敷地内の銚子工場に建設(1500m²)、22年の完成・稼働予定
・現在は1~2塩基程度の低分子が中心だが、数十個の核酸塩基からなる中分子医薬品に本格参入
・オリゴ核酸自動合成装置を設置し、アンチセンス核酸やsiRNAなどの治験薬・商用薬を受託。
・200~1000Lの合成タンクも新規導入。
・アミダイト修飾・合成から原薬開発、量産まで請け負える強みを生かす。
(あと、これで銚子の財政が少しでも良くなってくれないかなと...)
次は、コロナの治療薬の開発の行方ですね。これも多くの先人の溢れる熱意と、今を生きる研究者の果てしない努力のもと進んでいると思うと、コロナという長いトンネルの中にいる私たちにとっては、一筋の希望の光です。
こういった陰の偉大な功労者のストーリーをもっと世に出して欲しいですね。多くの研究者が毎日前進してくれているというストーリーは、私たちに安堵感を希望をもたらしてくれますので。
事業になりやすい研究しか継続しないとか、稼ぎやすいものしか研究しないとか、そんな下心満載の研究だけだとつまらないものしか生まれないのでしょうね。
ひと昔まえの日本ではモノになるかどうかわからないけどワクワクする研究に没頭できた。そんな寛容な空気があったからこそ、思いもかけないすごい結果につながったんですね。
協和キリン、タカラバイオはそうだし、あとは半導体パッケージ(半導体を保護しながら外部との接続を保つもの)は味の素が作るABFというフィルムがかなり使われている(下記)のだが、これもアミノ酸の技術を活用している。
https://newspicks.com/news/6168090
これから、他の発酵技術や製品も、どんどん応用範囲が拡大すると思います。
少しだけ残念なのは、iPhoneにカメラを提供しているSONYも、モデルナやビオンテック/ファイザーに原材料を提供しているヤマサ醤油も、「部品」を提供していますが、「最終製品」ではないことです。
これからの取り組みになると思いますが、「最終製品」も日本発になると、更にすばらしいですね!
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません