2021/9/26

【小倉ヒラク】僕が出会った「クールな発酵文化」たち

酒やチーズ、納豆などの食品から洗剤、さらには抗生物質などの医薬品まで…。発酵の作用は広く利用されている。地球の生態系を支えているのも発酵で、それなしでは、私たちの生活は成り立たない。

しかし、私たちは発酵についてよく知らない。身近にあり、重要な存在ながら、微生物は目に見えないからだ。

そんな目に見えない微生物のナビゲーターとして、発酵文化を世の中に伝え続ける男がいる。発酵デザイナーを名乗る小倉ヒラク氏の半生とともに、発酵の魅力に触れていこう。
INDEX
  • 制限が育んだ、ユニークな発酵文化
  • 発酵がつくる「インディゴブルー」
  • 「発酵展覧会」で爆買いの嵐

制限が育んだ、ユニークな発酵文化

「ブリコラージュ」という概念をご存じですか?
著名な文化人類学者のレヴィ=ストロースが考えた概念で、素人があれこれ工夫してモノを組み立てる」というニュアンスで、器用仕事とも呼ばれています。
レヴィ=ストロースがブリコラージュを考えたきっかけは、「なぜ世界中に多様な文化が生まれるのか?」という疑問でした。
そして、その謎を解く鍵は神話や文化が生まれる場所特有の「地域性」にあります。気候や風土の違いなどによって、そこに生きる動物や植物が変わり、多様性が生まれていくのです。
つまり、その地域ごとに文化があるということ。前回お話しした「うちの数だけみその味」と理屈は全く同じです。