2021/9/25

【小倉ヒラク】競争に疲れた時は、「手前みそ」を作ろう

酒やチーズ、納豆などの食品から洗剤、さらには抗生物質などの医薬品まで…。発酵の作用は広く利用されている。地球の生態系を支えているのも発酵で、それなしでは、私たちの生活は成り立たない。

しかし、私たちは発酵についてよく知らない。身近にあり、重要な存在ながら、微生物は目に見えないからだ。

そんな目に見えない微生物のナビゲーターとして、発酵文化を世の中に伝え続ける男がいる。発酵デザイナーを名乗る小倉ヒラク氏の半生とともに、発酵の魅力に触れていこう。
INDEX
  • 「デザイン=価値創造」である
  • 癒やしの「手前みそ作り」
  • 「雇われ兵」からの脱却

「デザイン=価値創造」である

発酵デザイナーとして、さまざまな会社と携わり、たくさんのユニークな仕事をさせてもらってきました。
その中で、僕自身の経験として印象深かった仕事が大きく2つあります。
1つが、五味醤油という老舗味噌屋さん。僕が発酵と関わるようになった、スキンケアの会社の後輩の実家です。
五味醤油は明治初期の1868年に創業した山梨の会社で、「醤油」とついていますが、現在は、醤油はつくっていません。
今は主に味噌とその原料である麹、そして素人が味噌を手作りできる「かんたん手前味噌キット」を販売しています。
五味醤油の特徴は、武田信玄が確立したと言われる甲州味噌を製造しているところにあります。