2021/9/23

【小倉ヒラク】流れに身を任せたら「無職」になっていた

酒やチーズ、納豆などの食品から洗剤、さらには抗生物質などの医薬品まで…。発酵の作用は広く利用されている。地球の生態系を支えているのも発酵で、それなしでは、私たちの生活は成り立たない。

しかし、私たちは発酵についてよく知らない。身近にあり、重要な存在ながら、微生物は目に見えないからだ。

そんな目に見えない微生物のナビゲーターとして、発酵文化を世の中に伝え続ける男がいる。発酵デザイナーを名乗る小倉ヒラク氏の半生とともに、発酵の魅力に触れていこう。
INDEX
  • 「文化人類学×アート」
  • パリ滞在で就活を「忘れる」
  • 「ゲストハウス運営」が大盛況

「文化人類学×アート」

「将来は、絵描きを仕事にしてみたいな」
東京で生まれ育った僕の夢は、アーティストになることでした。表現者への憧れがあったのかもしれません。
大学進学時は美大を受験し、見事、合格。ついにアーティストへの道が開けると思っていたのですが、あまりの学費の高さに断念し、早稲田大学に進学しました。
そこで没頭したのが、文化人類学でした。高校時代から旅が好きで、バックパックを背負って世界の新しい土地を歩くことが大好きでした。
そんな僕にとって、各土地で暮らす人間の生活様式をフィールドワークで調査する文化人類学は、とても興味深い分野でした。