新生銀、買収防衛策を決議 TOB対応、臨時総会も
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リリースから、新生銀行が買収防衛策導入の妥当性として掲げているのは大きくは以下3点。
①SBIが提案の前に情報共有や議論をしておらず企業価値の最大化を妨げる恐れが否定できないこと
②全株式を買い付けるわけではない一方、経営支配はできる募集数であり、銀行持ち株会としての認可取得するには不適切な子会社を保有しているため、残置された株主が犠牲となる可能性
③SBIの姿勢として、新生が会談を申し入れながら応じないなど、金融サービスの中核たる銀行業において公共性をもちながら経済・社会に貢献していくという観点で、公共性に悪影響を与え、ひいては株主共同の利益が害されるおそれ
https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2021/210917_Announcement1_j.pdf
各論点について、①は認められるはずがない点。この妥当性を認めると、友好的な事前協議の買収以外が市場でなくなってしまう。
②については、SBIが完全買収に切り替え(金額は増えるが)、また子会社を売却するなどすれば消える論点。とはいえ、現時点では一番強いか。
③については、定性の話で、これだけだとなかなか厳しい。当局含めて重視する点ではあるが、立証はしにくく、それだけで買収防衛策を認めるのが難しい領域に思う。
関連する論点としては、下記でコメントしたSBIの買い付け開始に関するお知らせというのが虚偽がなかったかという点は影響しうると思っている。
https://newspicks.com/news/6193966
注目のコメント
オーソドックスに行けば、SBIは新株予約権発行差止請求(会社法247条)を裁判所に申し立てるでしょうね。
背景が全く異なりますが、ライブドアが仮処分を勝ち取ったニッポン放送事案を思い出します。
基本的に、企業価値創出について説得力あるサイドが有利に立つことになるでしょう。何度でも申し上げますが、SBIはSBISLにみる投資家保護違反、融資モラル欠如による廃業を見れば、およそ一般銀行の経営を委ねられるような企業ではありません。渦中のSBISLの織田前社長は野村→ソフトバンク→SBIを通じて北尾社長と一体で行動している腹心中の腹心であり、SBISLの不祥事は北尾氏の経営姿勢の全てでもあります。すなわち、根底にあるのは昭和の株屋そのものです。金融庁が公的資金の回収を焦って、SBIにTOBを認めるような株式買付認可をしたのは、監督官庁にあるまじき行為です。地銀再生も含めて我が国の金融秩序を守るためにも、新生銀行と取引のある民間企業は手を携えて、SBIの魔手から新生銀行を守ってほしいと思います。
拙コメントに対して感情論であるとのご意見をいただいたので、追加記載します。(9.17pm19:35追記)
銀行は免許業務であり、預金を預かり預金者に迷惑をかけることのないような融資をするという公共性に鑑みて、それに相応しくない企業に経営させることは慎むべき事と考えます。感情論ではなく、以下のエビデンスをもってSBIがそれに相応しくない企業であると判断しています。詳細は以下の第三者委員会報告書をお読みください。
https://www.sbi-sociallending.jp/assets/pdf/report210428.pdf買収防衛策を、事後的に入れてくる、という行為は、もはや防衛とは呼べないでしょう。
TOBによって、市場にこれまでの経営姿勢を問えば済む、はずです。
この段での防衛策導入では、自己保身や、外部から見られては困る恥部があるのでは、と要らぬ誤解を招きます。
事前にやるからこその買収防衛策の意義もありますし、そもそも買収防衛策導入企業が減る中で、日本市場の不信感を買う、悪例となった、との所感です。