世銀、事業環境報告の発刊停止 中国の順位巡り上層部が圧力
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調査報告書を拝読しましたが、16ページにわたり圧力の経緯が詳しく書かれており、立派なものと思いました。10月のIMF・世銀総会の直前のこの時期(→現マネジメントによる総会でのプレゼンス発揮が難しくなる)に、トップの関与を明記した調査報告書を公表された世銀の自浄能力に、まずは敬意を表したいと思います。
世銀に限らず、国際機関の内部には「プレゼンス」や「メディアへの露出」を意識する向きも無い訳ではないと感じます。そして、とかく「ランキング」にメディアが飛びつきやすい構造の下、「ランキングの作成・公表」が、そうした安易な方法として使われやすい面もあると思います。
各国への国際機関の評価に対し、各国当局が「事実誤認」「制度を理解していない」等さまざまな反論を行うことは日々起こっていますし、国際機関の仕事の多くは、そうした折衝に充てられています。ただ、「ランキング」となると、一国の変更が他の国々の評価やアセスメント全体の信頼に響きますので、その作成にはとりわけ高い規律が求められるということだと思います。
現在、世界的には、「環境」や「脱炭素」などのランキングも流行りつつあるように感じますが、今回の経験が、巷に溢れる「ランキング」のディシプリンやモラルの確立に寄与してくれれば良いなと感じます。定量項目もありますが、基本的に定性指標です。この手のものは、本指標のみならず、様々な指標が抱える問題です。
分析者としては、あくまで参考指標として、様々な指標を組み合わせて総合的な判断を下す必要があります。
例えば、身近に言うと、国際大学ランキング的なもの。作られた意図や背景をきちんと踏まえて理解しないと、踊らされます。世界銀行の信用を揺るがしかねない問題です。ワシントン特派員をしていた時に韓国系米国人のキム総裁は「中国の操り人形」という話をありました。キム氏が任期途中で退任したのはこの問題が絡んでいた可能性があります。このような中国による国際機関の「乗っ取り」はしっかりと監視をして対策を出すことが急務です。