気候変動で2億1600万人が国内移住も=世銀調査
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気候変動リスクを財務情報として開示し,特に不動産投資リスクに反映させる動きが早まっています。今回の世銀のレポートでは国内移民の多くは発展途上国で起こると指摘していますが、先進国でも同様の動きは予想されます。
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昨年秋には巨大なハリケーンが中米を襲い、ホンジュラスやグアテマラといった国々から避難した人々がアメリカのメキシコ国境付近まで押し寄せました。
従来「難民」とは人種、宗教、国籍、政治的意見等を理由に迫害を受けるおそれがある者とされてきましたが、自然災害を理由に居住地退避を強いられる人が増加。昨年には、こうした「気候難民」も「難民申請の理由に値する」という見解が、国連人権理事会において初めて示されました。
つまり、「各国政府は気候を理由とする難民申請を退けるべきではない」というのが国連の公式見解であり、今後各国は気候難民を受け入れる体制を整備していかねばなりません。
恐ろしいのは、気候変動×別の脅威により被害が激甚化することです。たとえば内戦。「アラブの春」がシリア内戦の直接的契機となったことは有名ですが、その時点で、シリアは数年以上に及ぶ長期間の干ばつの被害にあっており、ただでさえ窮状に陥っていた農業問題が泥沼化。そして100万人以上の人々が大挙して都市部に流れ込んでいました。ここに、イラク侵攻を逃れてきた150万人の難民が加わり、シリア都市部の人口が急増。人口構成の急激な変化、食料価格の高騰、病気の増加が、政情不安定を招いていたことが背景となり、内戦が激化したと言われています(※)。
気候変動は「自然」だけの問題ではなく、人権と安全保障の問題であることを改めて認識し、早急に手を打って行かねばなりません。
※Kelly, C.P. et al. (2014) Climate change in the Fertile Crescent and implications of the recent Syrian drought. https://doi.org/10.1073/pnas.1421533112気候変動にブレーキをかけるべく発電や輸送の分野での脱炭素、すなわちClimate Mitigationにスポットライトが当たりがちですが、海面上昇や洪水などによる居住地の減少を阻止するなどの気候変動への対応(すなわちClimate Adaptation)も同じく重要で気候変動に取り組む際の両輪となります。
海面上昇による島国の土地の侵食は居住地の減少や作物に影響があり深刻です。
https://www.businessinsider.jp/post-197740