[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米株式市場では、新型コロナウイルスの変異株デルタが米国経済にどの程度影響を及ぼすのか懸念を測る指標としてエネルギー株の存在感が強まっている。

第3・四半期のエネルギー株はこれまで12.3%安と、過去最高値付近にあるS&P総合500種の3.7%上昇に反して大幅に値を下げている。ワクチン接種の進展を背景にエネルギー需要が増すとの期待から29.3%上昇した第1・四半期との違いが際立っている。

北海ブレント原油価格の下落幅(2%)を上回っており、一部投資家は米経済がコロナ再拡大を受けて回復局面のピークを既に付けた可能性があると考えているのかもしれない。

経済再開に関連したその他の銘柄である空運やホテルも軟調。投資家は高成長のテック株に再び目を向けており、今四半期に入ってから6.8%高となっている。

チャールズ・シュワブのチーフグローバル投資ストラテジスト、ジェフリー・クライントップ氏は「デルタ株感染者数の増加はテック銘柄のような在宅ディフェンシブ株のアウトパフォーマンス再来につながっている」と指摘。「経済再開関連株は大幅にアンダーパフォームとなっている」と述べた。

投資家は13日の週に発表される消費者物価指数(CPI)や小売売上高、消費者センチメント指標などで米国経済の状況を捉えようとしている。

モルガン・スタンレーは過去1週間に米株推奨を引き下げた際に景気減速懸念に言及。ゴールドマン・サックスのエコノミストは8月下旬、第3・四半期の米経済成長率見通しを9%から5.5%に引き下げた。

こうした懸念がエネルギー株を圧迫しており、エクソンモービルやシェブロンといった企業は今四半期に入ってから13%以上値を下げている。

ただ、一部の投資家は最終的にコロナ感染者は減少して経済成長を押し上げるとの期待から依然としてエネルギー株に強気だ。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズのポートフォリオストラテジスト、ギャレット・メルソン氏は、比較的堅調な成長が続くとして、エネルギー株のポジションを拡大しているという。

また、今回の下落により、一部のエネルギー株は今年序盤に比べかなり割安になっている。例えばエクソンは現在、予想PER(株価収益率)が12.6倍と、3月上旬の30.9倍から低下している。

とはいえ、NFJインベストメント・グループのシニアポートフォリオマネジャー、バーンズ・マッキニー氏によると、デルタ株への懸念が大手企業のオフィス復帰予定を後ずれさせ、出張需要が落ち込めば、エネルギー株は短期的に低迷が続く見込み。

同氏はエネルギーセクターについて、バイデン政権による排出規制強化見通しや電気自動車需要拡大にも直面していると付け加えた。

(David Randall記者)